まっかなあたまの



トナカイさんは



いつもみんなのわらいもの



でもそのとしの



クリスマスのひ



サンタのおじさんはいいました
























「ラビ、クビね」







「……へ、」

「だから……クビ、ね」

「え、ウソ、だってクリスマスこれからじゃん」

「株で失敗しちゃってさ、給料払う余裕なくなっちゃったんだ。悪いけど他のサンタ探してくれるかな」

「うーわ、聞きたくねーイブに一番聞きたくねー言葉さソレ」

「文句はアメリカに言ってくれる?サブプライムローンって怖いよね」

「うーわ、クリスマスイブだよ?プレゼントを夢見る日だよ?何この現実主義者。てかサンタが株に手出すなよ」

「………えへ、メンゴ★」

「てんめぇぇええ!!」




本当にごめんね!ソリはあげるから良いサンタ見つけるんだよ
Merry X'mas!




爽やかに笑った巻き毛のサンタは言うが早いか勢い良く家のドアを閉めた。

……つまり体よく追い出されたのだ。




まさかの失業、
まさかのイブに失業、
まさかのイブにトナカイが失業。




「べ、べ別にいいもんネ。あんなサンタこっちから願い下げだもんネ」



ソリをズルズル引きずりながら日が暮れかけた道をひとりとぼとぼ歩く。
Merry X'masと言われてあそこまで人に殺意を抱けたのは初めてだ


どうしよう俺クリスマスが嫌いになりそう。トナカイなのに。




「真っ赤なお鼻のー、トナカイさんはァ、」



「いつもみんなのー、わらいものぉ…………あ、」




寒い寒いと思っていたら
奴がやって来てたのか







……雪だ











……俺の嫌いな言葉にたった今ホワイトクリスマスという単語が加わった。




「……ホワイトクリスマスなんてクソ食らえ」




「ぐうぜーん、私も今同じこと思ってた」

「え、」




バッ、と声がする方向の空を見上げれば白い大きな袋を抱えた女がワインをラッパ飲みしてた。
おい、アンタそこ人ん家の屋根。
てかアンタ、



「サンタ?」

「ぴんぽーん!そう言う君はトナカイね?」

「……うん」



よっこいせ、


女は重そうな袋を抱えて笑った



「実はうちのトナカイ彼氏出来たらしくてさー。イブとクリスマスは彼氏と過ごさせてくれじゃなきゃボイコットすんぞって凄まれちゃったの」

「女のトナカイだったんか」

「女の友情の儚さを見たわ」



ボスン、

サンタは屋根から飛び下りた。
その赤い服と帽子がなければただの泥棒に見えることは伏せておこう。




「あれ、君の髪の色真っ赤だ」

「…うん、まあ」

「あは、真っ赤な頭のトナカイさんだ!」

「うん、まあ」

「ん?元気ないね。サンタに振られたか?」

「や、違うっていうか、いや?違うのか?いやいや違うだろ!」

「どっちだよ」

「……取り敢えず解雇されました」

「あっちゃー」




お兄さん今日が仕事日本番だよ。稼ぎ時だよ。あっちゃー



サンタは重そうな白い大きな袋を持って俺の近くまで寄ってきて、
そして



「どっこいしょ」

「何やってんさ」

「いやぁ、トナカイいなくて困ってたんだよね」

「え、何言ってんさ」

「君の赤い髪カッコいいよね」

「え、何なんさ」



「お兄さん私と組まない?」
















サンタにナンパされました

(いつも泣いてたトナカイさんは)

(今宵こそはと喜びましたとさ)


*
 





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