どうしようもない女の話




昨夜腐れ縁の女と越えちゃいけねェ一線を越えた。俺としちゃあ断る理由もなければむしろラッキーな勢いだったから速攻で押し倒してお互い貪りあった。
性格さえ知らなきゃ最高の女だと思うしその性格の歪みすら俺にとっては心地よいくらいで、そこらの偽善的で慎ましやかに見せてる女どもなんか比べ物にならないくらい良い女だと思った。


関係を持ちはしたが相変わらず奴は難攻不落だった。隙を見せなけりゃ可愛いげもねェ、オマケに性格に重大な欠陥があると来たもんだ。昨夜からは想像できない翌日の淡白さにほとほと呆れた。

そんな難攻不落だと思ってたこいつを、自分の主義を変えるくらい弱らせる男がいる。世の中には上には上がいるって本当なんだな。こいつ以上に歪んでる奴なんざ初めて見た。



「なに?」

「旦那、それ道路交通法違反」

「あー、メット忘れたんだよね」

「違いまさぁ、チュッパ舐めながら運転」

「そっち?」



そんな法律知らなかったわーって言ったら当たり前でさァ今作ったもんと目の前の警察はVサインを作った。日本の崩壊も近いと思った。



「まあなんでもいいんでィ。あんたをしょっぴいて拷問にかけられるならねィ」

「なに淡々と怖いこと言ってんの」

「気づいてないとでも思いましたかィ?」




不適な笑みを作った少年にまさか、と薄ら笑いを飛ばした。昨日の今日という絶妙なタイミングで出くわしたときから奴の言わんとしてることは分かってた。更に言えば、聡い彼が彼女の浮気に気づかないわけがないということも。



「気づいてたんなら迎えに来てやれよ。冷てぇな」

「…泣いてましたかィ?」

「……悪趣味だな」

「あんたに言われたくねーや」



どこまでも腹の底が読めない。こいつもあいつも。だから気に入ってはいるんだが。



「お前もあいつもどうしようもないくらい歪んでるなぁ」

「そういう俺らにつけ込んだ時点であんたも他人のこと言えませんぜ」



的確としか言えないヒトコトに少し驚きながらも笑いを隠せなかった。
歪んでる?その通りだよ。



「あんまアイツのこと泣かせんなよ」









(いろいろ歯止め利かなそうだからさ)




20100619


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