不器用 続編



おかしいな。
すごく、おかしいな。

おかしい、な。



どうして想い合っているのに、離れてしまうんだろう。
どうして俺に期待させるんだろう。

おかしいな。
すごく、おかしいな。

おかしい、な。



泣いてる兄さんの涙を拭ってあげることも出来ない。
好きだと言うことも出来ない。
兄さんを苦しめるあの人のポジションに居ることも出来ない。

おかしいな。
すごく、おかしいな。

おかしい、な。



テグン兄さんがハギョン兄さんから離れた理由は、テグン兄さんからすべて訊いていた。
テグン兄さん自身がハギョン兄さんを壊してしまいそうだから…。
それが怖くて離れたんだ、と。

壊したくなるほど、テグン兄さんはハギョン兄さんを愛した。
そしてハギョン兄さんは、テグン兄さんから壊したいと思われるほどに愛されたんだ。

俺はそれが、羨ましくて堪らない。

テグン兄さんは、俺がすぐテグン兄さんの変化に気付いたことに驚き、そして俺に心を寄せた。
ハギョン兄さんに寄せる心とはまた別の、俺にとっては引き裂かれそうになるほど苦しくなる心を。

どうしてテグン兄さんの変化にすぐ気付けたと思う？
テグン兄さんは知らないよね。
俺がずっと兄さんのことを見ていたから…だから気付いたんだよ。

好きで好きで仕方がなくて。
いつか奪いたいなんて思いながらも毎日見ていたんだ。
それで気付かないわけないでしょ。



「あーあ、好きなのにな。」



好きなのに。
好きなのに、手が届かない。
好きなのに、奪えない。

いや、違う。
好きだからこそ手を届かせようとしないし、奪えないんだ。

ずっと見ていたからこそ解る。
テグン兄さんに見合って、それでいて兄さんが幸せになれるのはハギョン兄さんの隣に居るときだけ。
だから俺は何も出来ないんだ。



おかしいな。
すごく、おかしいな。

おかしい、な。



頬を伝うのはなんなんだろう。

俺にだけ、雨でも降ってるのかな。



おかしいな。

すごく、おかしいな。



おかしい、な。






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おかしいな。
ここまで続けるつもりはなかったのに…おかしいな。