「…っ…いてて…」

気がつけばスカイウォーカーの壁に下半身を合わせ、座席の座る部分に自分の背中。
まるで自分の股をのぞいているような体制をしていた。

「…どうやらタイムスリップは成功したみたいだ。
…早くそのみっともない格好どうにかした方がいいよ。」

ネスよりも少し前に意識を取り戻したジェフは一足先に外を見てきたらしい。
といっても、ただ一、二歩歩いてみてすぐ戻った。

「…ある意味成功…?実験はさ…」

ネスは体制を立て直して、ちょうど反動で飛んで、操作レバーにひっかかる赤い帽子をかぶる。

「まぁね…とにかくここをでて見よう。」

ジェフは今までの旅で使っていたガイアビームを持ち、ネスはこれまでに愛用していたバットのグリップを握って、スカイウォーカーをあとにした。

どこの時代の森かわからないが、ちゃんと人が楽に通ることができる道がある。
そんなに昔って訳でもなさそうだけど…
でももしかすれば自分の住んでいる時代よりもうんと未来かも知れないし…

「なんか聞こえない…?」

辺りを見回しながら歩を進めるネスが急に足を止めた。
だが、ジェフには何も聞こえないらしく、「何が?」と返す。

「…犬の吠えるのが…」

そのまま黙り込んで耳を澄ませる。

「こっち!」

声がする方に駆け出す。
ジェフも後を追う。
真っすぐ走ってそこを邪魔する茂みをひとっとびすれば今までみたことない生物が、茶色の犬とおそらくその生物にやられた金髪の少年を囲っている。
そこの犬は金髪の少年を守るように傍にいて唸っているが、やられるのも時間の問題。
まず、ジェフが首の周りがプロペラと化したネズミ数匹を撃ち抜き、驚き戸惑う頭がニワトリのヘビ数匹をネスがバットで薙ぎ払う。
自分達の存在に気付いた山芋の身体のモンスターがねばねばしたのを、近くにいたネスに放つ。
その攻撃をひらりとかわし、PKファイアで焼き払った。



「ウ〜…ッ!」

いきなり現れた自分達を睨みながら唸りをあげる犬は、その行動からまだ警戒心を持っている。
ネスは自分の超能力で動物と会話が出来るため、それを活かして宥める。

「…大丈夫。僕らは敵なんかじゃない。」

そう語りかけ、怪我して横たわる少年にライフアップをこころみる。
傷を癒せばその少年は意識を取り戻し、起き上がる。

「大丈夫?君…」

いきなり知らない人が二人もいるものだから、戸惑って言葉を失っている。
だけど人として大切なのを取り戻す。

「…あの…助けてくれてありがとう…」

そういい、軽く会釈するとその場を離れる。
だけど聞きたい事があるから止めた。

「あの、この辺に町とかがあるなら案内してほしいんだ。ちょっと迷子になっちゃって…」
「そうなの?…そうだね。この辺じゃ見かけないし…
いいですよ。こっちです。」

まだ名を知らぬ少年の後を追う。
森の中には住居もあったようだし、その近くには温泉もあった。
そしてようやく長いようで短いような森の中の旅は終わった。





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