朝練後の眠たい朝を俺はお菓子を食べながら、ぼーっと外を眺めて過ごしていた。



ボリボリボリ…
この味結構好きかも…
あっ…あの雲わたあめみたいだ〜…
あっちはパンケーキ〜



一番後ろ窓側の特等席から望む秋田の空は東京とはまた違った景色を映し、案外面白かったりする。



でも楽しいのは最初だけ。
変わらない景色に俺はすぐに飽きてしまい、大きな欠伸をした。



HR始まるまで寝よ〜…



俺は空になった菓子箱を窓の枠に立てて置き、椅子をこれでもかと引くと机の上に上半身を突っ伏した。
机の小ささに多少イラつきながらも、ベストポジションを見つけようと腕を組み換えたり、首の位置を何度も調整する。



しかし、いつも首を左側に向けて窓を見ながら寝ているのだが、今日は何だかしっくりこない…



諦めた俺は仕方なくそのままの体勢で首を右側に180度回転させた。
すると、教室の一ヶ所に人だかりができているのが目に入る。




「海キレイだった?」


「うん!すっごく綺麗だったよ!写真あるから後で見せてあげる」


「やっぱこっちに比べてあったかいの?」


「あっちは暑いくらいだよ!今の時期でも半袖で全然大丈夫だったもん」


「え〜マジでー?羨ましい〜」




突っ伏していた体を起こして人だかりの中心を覗くとあだ名ちんがいるのが見えた。
クラスメートに大きめな平らの紙箱からお菓子を配ばっている。



あ〜確かそういえば…



俺は何日か前にあだ名ちんが家族で沖縄旅行に行くと友人たちに話しているのをたまたま耳にしたことをぼんやり思い出していた。



俺にもお土産くれるかな…



あだ名ちんとは特別親しい訳じゃないけど、お菓子作りが趣味みたいでたまに作ったのを学校に持ってきては俺にもくれたりする。



地味男にもあげてるし、当然俺にもあるでしょと高をくくっていたのだが、あだ名ちんは一向に俺の所には来ず、とうとう紙箱が空になったのか畳んでゴミ箱に捨ててしまった。



………はっ?俺には?



二個貰ってる奴もいんのに何で俺にはないワケ…
あだ名ちんが必ずしも俺にあげる義理はないかもしんないけど、クラスで俺だけ貰えないとか酷くない?



何かムカつくんだけど…



俺は寝心地が悪いのも構わず、あだ名ちんからそっぽを向くように首を左側にしてふて寝をし、そのまま不機嫌な朝を過ごした。




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