「誰どこ」ゲーム 小説







こんばんは、凛香です。
先日やった新企画「誰どこゲーム」の小説が出来あがったので、この場に置かせて頂きます。
あと、企画を知らない方のために、一応概要をご説明いたしますね。


この企画は5/10〜5/15日の間に当サイト内で行った企画で、「誰」が「どこ」で「何をする」かをこのサイトにいらっしゃる皆様に投票で決めていただき、そのキーワードに沿った話を私が書く、というものです。


今回の投票では、「クロロ」が「お風呂場」or「ベッドの上」で「儚く笑う」というものなりました。投票してくださった方々、ありがとうございました。


詳しい結果はこちらよりご覧いただけます。


では、以下より「クロロ」が「お風呂場」or「ベッドの上」で「儚く笑う」小説が始まります。どぞーー。









風呂場からシャーーと断続的な水音が聞こえてくる。本日の仕事を終えたクロロ=ルシルフルはシャワーを浴びていた。服の上からは想像しにくい引き締まった筋肉の凹凸に沿って、シャワーの水が流れ落ちてゆく。しっとりと濡れたその筋肉は、風呂場のライトを浴びて艶かしく光っていた。


「くそっ……」


叩かれたタイル壁がドンっと鈍い音を立てる。クロロは苛立ちの混じった顔で、壁に埋め込まれた鏡をじっと見ている。その顔は酷く真剣で、タイルを打ち付ける絶え間ない水音だけがその閉ざされた空間を無機質に満たしていく。どれくらい時間が経っただろうか、しばらくしてクロロは儚く笑い、そしてその口を開いた。


「……オレの生え際、後退してないか……?」と




終わり











はい、「クロロ」が「風呂場」で「儚く笑う」話で……って、ちょ…、ちょっと待って。え?違う……?想像してるのと違ったって? あ、ちょ……そこ、いたっ……痛いって、飲みかけの空き缶投げるのやめて……! せめて投げるなら、そこのスルメかチクワかカマボコにして……口でキャッチするから……って、あの、すみません!調子乗りました!!!


はぁ……はぁ……はぁ……(息を整え中)



はぁ……はぁ……はぁ。もう、そんな怒らないで下さいよぉー、ちょっとした遊び心じゃないですかーーー。ということで!!気を取り直してTAKE2行きますね!!!今度は場所を変え、「クロロ」×「ベッドの上」×「儚く笑う」でTAKE2いってみましょうかーー!!では、スタート!!!!











街の外れにある廃墟ビルの一角に、その男はいた。手元にある蝋燭の薄明かりの中で、瓦礫の山に腰をかけ悠然と本を読んでいる。


「ぅ……ぐ……」


くぐもった声が薄暗い部屋の中で静かに響き渡る。部屋の隅には一昔前の病院で使われていたような味気のないベッドが置かれており、その声はどうやらベッドの上から聞こえているようだった。


「どうだ?」


読んでいた本をパタンと閉じてクロロが顔を上げる。「まだね、コイツなかなかしぶといよ」とベッドの脇に立っていた黒づくめの小柄の男が返事をする。返事をした男の名前はフェイタン、幻影旅団のメンバーの一人で拷問を得意とする男だった。


「そうか。では続けろ」


フェイタンは、淡々と返された感情の一切篭っていないクロロのその言葉に頷くと、おそらく簡易的に作られたであろうベット下のハンドルに手を掛けた。男の瞳が恐怖で更に見開かれる。フェイタンがハンドルを回すと男の手足に嵌められた鎖がギリギリと巻かれてゆき、ただでさえ伸びきった四肢がさらに引っ張られてゆく。どこかの関節の外れたのだろう、ゴキッと鈍い音が響き、男はたまらず叫び声を上げた。しかし、口に嵌められた猿轡のせいでそれはまともな声にならなかった。



入り込んだ隙間風が蝋燭の火を左右に揺らす中、ベットの縁を伝って隅に溜まった男の血が、ポタ……ポタ……と小さな音を立てている。随分と前から男の反応は弱々しいものになっていて、コンクリート壁にぼんやりと浮かび上がったフェイタンのシルエットだけが蝋燭の光に合わせて上下左右に伸び縮みしていた。


パタンと本を閉じる音がして、クロロが立ち上がる。クロロの動きに気づいたフェイタンは、鋭い爪のついた鉄製の拷問具を男の腸からゆっくりと引き出して、それをベッド脇のテーブルにそっと置いた。血がぺちゃりと音を立てる。


「さて……」


ベッドの血の付いてない部分に腰を下ろし、クロロは静かに口を開く。猿轡を外された男は、息も絶え絶えな様子でクロロを見る。狂うことも意識を失うことも出来ないギリギリの境界で、身を引き裂くような痛みを与え続けられた男は、「助けて、くれ……」と懇願の声を上げた。


「それは出来ない相談だ。オレはまだ求める情報を得れていない」
クロロはきっぱりとその要求を跳ね除ける。
「あ……あ、喋るから……喋るから……お願いだ……頼む……」


その言葉にクロロはニヤリと唇を上げた。そして、クロロは幾つかの質問を男に問いかけ、男はその質問に答えていった。男から求める情報を聞き出すことに成功したクロロは、右手に発動したスキルハンターに鎖から解放された男の右手を重ねた。これでスキルハンターの成立条件は全てクリアし、男の念はクロロのものとなったのだった。具現化した本を消すのを見て、男は安堵の息を吐いた。これで全て終わりだ。解放される。男の顔にはそういった感情がありありと浮かんでいた。


それを見たクロロはふっと笑った。それは侮蔑でも嘲りでもない、儚いと言って差し支えないほど消え入りそうな笑みだったーー。

クロロの瞳は男を見ていない。その笑みも男に向けられたものではなかった。そう、それは例えば、数日の命と知りながら地上で懸命に生きるカゲロウやセミに向けるものに似ていた。大きな自然に組み込まれた一つの命。目の前で生きようが死のうがそれは広大な自然な一つの流れであって、取り立てて意識を向けるようなものではない。生も死も全てを受け入れ、「死」を隣にあるものとして生きているクロロにしか出来ない笑みだった。


「フェイ」


クロロはフェイタンの名前を呼び、フェイタンはクロロに無言で頷いた。それだけで十分だった。二人に会話はいらなかった。フェイタンはテーブルに置いた拷問器具に再び手を伸ばし、クロロは踵を返して出口に向かった。クロロの背後で男の金切り声が響き渡る。「話が違うじゃねぇーか!」その声をクロロはまるで部屋のBGMを聞くように耳にしながら歩いていく。この男が生きようが死のうが、そして、どれだけの苦痛を受けようと、クロロは全く気にも止めないだろう。短くなった蝋燭が、じじ…と小さな音を立てて揺れていた。




終わり









はい、「クロロ」が、「ベッドの上」で、「儚く笑う」お話でした。余談ですが、この男は少なくとも半日はフェイタンの遊び道具となり、それをあらかじめ見越していたクロロはその半日の間にこの男から盗んだ念で事に及ぶという…………って、あれ? なんか皆さん暗くないですか? ………え? 想像してたのとちょっと違った………?


いやだなー、皆さん、私が「グロ」系のシリアスネタが好きだって事はご存知なんじゃないですか……? アダルトリオな冷酷な部分に惚れている私のことですよ、こんなパターンがあっても………って、あ、ちょっと、待って下さい、帰らないで下さいよ!!!!


いやいや、すみません、調子こきました!!! こういう系統も好きな人が居るんじゃないかなーーって思って、調子こきましたっ!!!!


こういう系統も好きですけど、別の系統も好きなので!!!はい、TAKE3に行きましょう!!!!「クロロ」が「ベッドの上」で、「儚く笑う」話です!!!どうぞーーーー!!!!












かさりと小さな音がして目を覚ますと。ぼんやりとした視界の向こうで、窓から差し込む朝日を浴びながら身支度をするクロロが目に入った。手元にある時計の時間を見ると五時四十五分、ちょうど空が薄明るくなってくる時間だった。


「もう……行っちゃうの?」


そう尋ねるとクロロが少し驚いた顔でこちらを見た。シャツのボタンを締めながらこちらに歩いてきたクロロは、「起こしたか?悪かったな……」そう言ってベッドに浅く腰をかける。何も身につけていない身体にシーツを当てて、上半身を起こそうとするけれど、昨日の情事が色濃く残る体は気怠くて、その動作さえ随分と時間がかかってしまった。


「無理するな」


クロロがふっと笑い、私の髪を優しく撫でる。少しずつ温度の抜けていくシーツと違って、クロロの手はとても暖かった。行かないで。ずっとここに居て。そう言いたくなる言葉を飲み込んで口を開く。


「もう……行っちゃうの?」


そう言うとクロロは何も言葉を返さずに、笑った。それは悲しそうで苦しそうな、まるで窓から差し込む朝日と一緒に消えて行ってしまいそうな儚げな笑いだった。



「クロロ……」


思わず抱き締めると、昨日の夜、私の身体を包み込んだクロロの匂いが胸いっぱいに広がった。服の上からしか感じることの出来ないクロロの熱が、酷くもどかしかった。クロロの頬を手で包み、唇にありったけの想いを込めて、おでこにキスをする。クロロ、大好きだよ。しばらくして唇を離した私は、クロロの瞳を見つめながら言う。


「行ってらっしゃい」


また戻って来てね、とは言えなかった。バタンと音を立てて閉まったドアを私はいつまでも見つめていた。数十分前までクロロの熱を帯びていたシーツは、もう冷たくなっていた。私は冷たくなったシーツを抱き締めて、顔を覆った。止まることなく流れる涙が、冷たいシーツに悲しみの染みを作っていった。



終わり











はい、と言うことで、以上三点、「クロロ」が「風呂場」or「ベッドの上」で「儚く笑う」のショートストーリーでした。いかがでしょうか、お楽しみ頂けたでしょうか!?


セルフツッコミ満載の、はっちゃけた内容となってしまいましたが、お楽しみ頂ければ嬉しいです!!!


ギャグ・シリアス・悲恋、と違う切り口で書かせて頂きましたが、皆さんは三つの中でどれがお気に召したでしょうか? このサイトに遊びに来る皆さんがどのようなタイプなお話が好きなのか、どの話が一番好みにあったか、教えていただけると嬉しいです。


アンケート




Q.どの話が好みに合いましたか?

一つ目(ギャグ)
二つ目(シリアス・グロ)
三つ目(片思い・悲恋)

一言あると嬉しいです!







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