イル+クラ/ギャグ
キルアのプレゼント選びのお話です


アンケートのご協力
ありがとうございました^^






クラ「うーん…」


とある大型雑貨店で
クラピカは首をひねって悩んでいた。


今日はキルアの誕生日。


すぐにおめでとうと言いに行きたいのだが


肝心な誕生日プレゼントがなかなか決められない。


クラ「はたしてキルアは何を欲しがっているのやら…」


食器やおもちゃや変な顔をしたぬいぐるみ


手当たり次第に手に取るのだが
どうもしっくりくるものがない。


クラピカはがっくりと肩を落としてため息を吐いた。


クラ「仕方ない。他の店を見てみるか」


そのまま店を出る。


休日の午後だからというのだろうか
通りは人で賑わっている。


クラ「そういえば今日は七夕だな。七夕が誕生日だなんて羨ましいぞ。私の誕生日はおかまの日だとかあんぱんの日だとか言われているんだからな」


今年の4月4日に職場の同僚達から
あんぱんが170個送られてきたことを思い出す。


くる日もくる日もあんぱんを食べ続け

やがてあんこや白ごまをみるだけでも体が拒絶反応を起こし
謎の高熱に見舞われたことはあまりに苦い思い出だった。


クラ「うう、思い出したら吐き気が…」


トントン。
不意に肩を叩かれる。


クラ「?」


ギダラクル「カタカタ」


クラ「うわぁぁぁっ!」


振り返ってみれば
顔中針だらけの見るからに危なそうで顔色が悪い人物と至近距離で目が合い


クラピカは思わず後ろに倒れてしまった。
地面にぺたりと尻餅をついてしまう。


やがて顔中の針をぶち抜いて
イルミが本当の姿を現した。


イルミ「や」


ク「なんでその格好なんだ…」


イ「気分転換だよ。何も転ぶことないよね。そんなに驚いた?」


ク(気分転換で変装を用いるのは一般的ではないと思うのだが…ゾルディック家では日常茶飯事なのか?)


イルミはなんの気なしに
クラピカに腕を差し出した。


ク「…すまないな」


イルミの手を掴んで立ち上がる。


イ「よいしょっと」カシャッ


ク「だからなんで私を撮るんだ。あの変態(クロロ)の気持ち悪い依頼はまだ続いているのか?」


イ「うん。この前夏祭りの時の写真送ってやったら、何も言わずに口座に延長料金が振り込んであったんだ。めんどくさいからやっぱりしてないけど」


ク「 」


イ「ところで久しぶりだね。夏祭りぶりだっけ?こんなところで何してるの?」


ク「ああ、久しぶりだな。私はちょっと…お前こそ何をしているのだ?」


イ「買い物だよ。見れば分かるでしょ」


ク「 うん…そうだな…」


イ「君も買い物?」


ク「ああ。キルアの誕生日プレゼントを買いにきているのだよ」


ぴくり。
イルミの瞼が動いた。


イ「奇遇だね。実は俺もなんだ」


ク「そうなのか?」


イ「うん。でもキルの欲しいものがよく分からなくてね。さっきキルにメールしたらアドレスが変わっててエラーで返ってきたんだ。俺に送り忘れるだなんてキルったらほんとおっちょこちょいだよね」


ク「うん…そうだな…うん」


イ「そんな訳でキルのアドレス教えてよ」


ク「いくら兄弟とはいえ、勝手に教えてもいいものなのか?」


イ「そういえばそうだね。君に教えてもらうのもなんとなく癪だし。帰ってミルかカルトに教えてもらおうっと」


ク(果たしてキルアは次男の兄上に新しいアドレスを教えているのだろうか…)


イ「じゃ、君のアドレス教えてよ」


ク「 え 」


イ「ピッ」


クラピカからの返事も聞かずに
イルミはクラピカの携帯を取り上げて
勝手に連絡先を交換した。


イ「はい。終わったよ」


クラピカに携帯を返す。


ク「ああ…別に構わないのだが….意外だな」


イ「え?なんで?」


ク「いや、別に…」


イ(このアドレスをクロロに売ればいくら手に入るかな)ピッ


ク「念のために言っとくがあの変態に教えたとしても私は着信拒否のしかたも受信拒否しかたも覚えたぞ!無意味だからな!」キリッ


イ「そうなんだ。残念」


ク「ところでお前はキルアに何を買ってやるつもりなんだ?」


イ「だからキルの好みがよく分からなくて迷ってるって言ったでしょ?キル、俺があげるものは手を付けないんだ。反抗期だよね、きっと」


ク「そういえばお前に以前昼食に毒を盛られてからというもの、お前から何かを貰うと警戒して手がつけられないって言ってたぞ」


イ「ああ、あれはジョークのつもりだったのに。いい訓練になったと思ったんだけどまずかったのかな。ところで君は何を買ってあげるの?あ、変なものあげようとしたらクロロに情報全部流しちゃうからね」


ク「やっぱりそのつもりで私の連絡先を聞いたのだな…。実は私も思い悩んでいるのだよ」


はぁー。
大きなため息を吐いてがっくりとうな垂れるクラピカ。


イ「…」


イルミは顎に手を当てて何かを考えこんている。

イ(こいつがキルにプレゼントを買ってあげてるだなんてなんかムカつく。クロロの話を聞く限りいろいろと抜けてるところがあるみたいだし。このままほっとくと本当に何しでかすか分かんない。だけどキルは反抗期なんだから俺が買っても受け取らないし)


ク「あのー…瞬き一つしない顔でじーっと見つめられると若干緊張するのだが」


イ「不本意だけどキルは君に懐いているようだし、君が渡すものなら受け取るだろうし」


ク「???」


イ「キルのプレゼント、一緒に選んであげる」


ク「いいのか?」


イ「うん、特別に無料でいいよ」


ク「本当か!実は私も一人だけでは自信がなくてな、助かるぞ。」


イ「そうと決まったら早く行くよ」スタッ


ク「あ、そっちは」


ギィィー。
車が急ブレーキを踏む激しい音がこだました。


運転手「おいっ!急に飛び出してきて危ないだろこらぁ!!死にたいのか!!」


運転手は窓から身を乗り出して
カンカンに怒っている。


イ「そういえばこういう時って横断歩道を使うんだったっけ、忘れてた。ごめんね運転手さん」


ク(こいつ…いろいろと大丈夫なのか…?)




ー大型雑貨店にてー


イ「建物の中身はこうなってるんだね。うわー(棒読み)」


ク(実は先ほどもこの店にいたんだが…)


イ「そろそろ本格的に暑くなるし。これ、いいんじゃない?キルには目を潰して欲しくないし」


そう言ってサングラスを手に取るイルミ


ク「サングラスか。そういえばキルアは夏祭りの時も射撃で撃ち落としていたぞ。意外と好きなのかもな」


ク(むやみに使用しないのはレオリオとのキャラ被りをしない為に気を遣っているのだろうか。大したやつだ)


うんうん
妙に感心するクラピカ。


イ「そういえば夏祭りの日さ、キルの帰りが遅かったんだけど。なんで?まさか変な所に連れて行ったりなんかしてないよね??」ぎろっ


ク「あわわ、連れていってなどいないから殺意を向けるなお前の睨みは冗談抜きで怖い。あの日は帰り際に二人して迷子になってしまったのだよ」


イ「迷子?」


ク「ああ、幸いボスからメールがあってな。返信ついでにその旨を伝えたら迎えにきてくれて無事に帰ることができたのだが」


イ「雇い主をパシるだなんて度胸があるね」


ク「後日ノストラード氏から怒られてしまってな。おかげで今月の給料が若干カットされてしまったのだよ」しょぼん


イ「ああ、だから最近の朝はタクシーじゃなくて徒歩で職場に通ってるんだね」


ク「……何故知っているのだ?まさか見てるのか?」


イ「ううん。クロロ情報」


ク「 」


イ「クロロ、暇さえあれば君のストーカーしてるよ。知っているだろうけど」


ク「奴の気持ち悪さもここまでくれば清々しいな」


イ「うんそうだね」


ク「なぁイルミ…。お前は先ほどから何をしているのだ?」


イルミの手の中には
白い熊のぬいぐるみ(針まみれ)があった。


イ「何って?こっちの方が可愛いでしょ」


ク「どこをどう見たら可愛いのだ!?グロいじゃないかバイオレンスじゃないか!!ああもうこうなってしまったら買い取りだぞ。いったいいくらだ?1000ジェニーくらいか?」


ぬいぐるみの値札を確認する。


『22万ジェニー』


ク「 」


イ「結構な値段なんだね。あれ?どうしたの?」


ク(ま さ か の ヴ ィ ン テ ー ジ )ぞわっ


クラピカはキョロキョロと辺りを見渡す。


ク「……ぐいっ」


ィ「?どうしたのいきなり」


ク「いいから早くここを出るぞ!店員に見つかったら終わりだからな!!」


どうしても破産したくないクラピカは
イルミの腕を掴んで前に進む。


イルミは引っ張られながらも
掴まれた腕を不思議そうに見つめていた。


入り口まで来たところだった。


ク「よし…もう大丈夫だろう…」


イ「ねぇ。君、手繋ぐの好きなの?」


ク「え?…あっ!つい…」


バッと手を離し
顔を赤らめて俯くクラピカ


イ「……」


イルミはその横顔をやはり不思議そうに見つめていた。


ク「とりあえずここを出るぞ!」


イ「てゆうかこれって犯罪に近いんじゃないの?」


ク「うーむ…良心はかなり痛むのだが仕方がないのだよ。私は今月は厳しいし(ボスをパシッた代償)今は持ち合わせがないのだ。すぐにお金を下ろしてきて謝りに戻ってくるからその時買い取ることにしよう…」


自動ドアが開き、
イルミが何かを言おうとして
クラピカが外に一歩踏み出そうとした時だった。


ク「うっ」ぞわっ

イ「?」


後方からがまがましいオーラを感じた。


恐る恐る振り返ると


店員「おーきゃーくーさーまー?」ゴゴゴゴゴ


ク 「 」


イ「 」


髪が逆立つ勢いで何か恐ろしいものを放ち
鬼のような形相で腰に手を当てて仁王立ちをしている中年の女性(多分店長)が立ちはだかっていた。


ク「あの…その…」


店長「ずっと見ていましたよ」ゴゴゴゴ


ク「ごめんなさい本当すみません」


クラピカの即座の平謝りも虚しく
二人はバックルームへ連れていかれた。



ー約30分後ー

散々怒られて店から追い出されてしまった二人は
先ほど同様、賑わう通りを歩いていた。


ク「うう。針まみれのぬいぐるみをあげたらキルアはきっとびっくりするのだよ」


イ「もしそうだったら君にあげる」はい


ク「思ったより外見怖いぞこの熊」


イ「そう?」


ク「はぁ…結局お前に買わせてしまったな。すまなかった」


クラピカはがっくりと肩を落とした。
イルミは首を傾げる。


イ「針を刺したのは俺なんだし、俺が払うのは当然じゃないの?」


ク「え?」きょとん


ク(そういえばそうだ…)


イ「それに後で買い取りにくるつもりなら店員に一言言えばいいのに。いきなり逃げようとするから怒ったんだよね、あのおばさん(店長)」


ク「 」



ク「ああああー!私としたことがぁぁぁぁぁ!!持ち合わせがないからってその場を離れることしか頭になかったぞ!我ながら馬鹿だー」


うわぁぁん。
クラピカはしばらく自己嫌悪に浸っていた。


イ(こいつ…いろいろと大丈夫なのか…?)



しばらく肩を並べて歩く二人


ク「家でのキルアはどんな様子なのだ?」


イ「うーん、スケボーしてたりゲームしてたりするよ。最近は君たちのせいであまり家に帰ってこないけど」


ク「おお!新しいスケボーとかどうだ?」


イ「いいんじゃない?じゃあ早く行くよ」スタッ


ク「だからそっちはっ」


いきなり道路に飛び出したイルミに向かって車が突っ込んでくる。


急ブレーキが間に合わないようだ。


ク「あ、危ない!」


クラピカは反射的に目を瞑った。


イ「ひょいっ」


ク「 え 」

クラピカの目が点になる。


ク(と、飛び越えただとぉー!?ハードルを飛んだかのように軽やかだったぞ!凄すぎるぞゾルディック家(驚))


イ「なにしてるの?早く来なよ」


ク(こいつ…本当に大丈夫なのか…?)



ースポーツショップにてー


ク「一口にスケートボードと言ってもいろいろあるのだな」


展示されている様々なスケボーを眺めながら呟いた。


イ「電動式とかあるんだね。重そう」


ク「キルアは上手く乗り回しているが、お前も乗れるのか?」


イ「うん。キルにスケボーの乗り方教えたの俺だし。思い出してみれば最初は下手だったよなー…いつも転んで怪我して俺に泣きついていたっけ」


懐かしいなー
そう言いながら空に視線を這わせるイルミ。


それを見たクラピカの口元が自然と緩む。


ク「ふふ」


イ「何笑ってんの?」


ク「いや、キルアは本当に大事にされてるのだと思ってな。お前は本当にキルアが好きなのだな」


クラピカは肩を揺らして笑った。


イ(……)



イ「なに言ってんの?キルが可愛いとか当たり前でしょ」



ク「ああそうだな!私が悪かったぞ!」






しばらくスケボーコーナーを彷徨った後
何かを見つけたクラピカがイルミの服の袖をぐいぐいと引っ張った。


ク「これなんかどうだ?結構ユニークだぞ!」


イ「?」


クラピカの手に握られていたのは
ごく普通のローラースケートだった。


イ「 」


ク「すごいな!最近は靴型のものもあるのだな!」きらきら


イ(こいつ…本当に大丈夫なのか…?)


ク「それにしてもどれも高価なのだな。キルアが喜んでくれればそれに越したことはないのだが」


イ「キルがこの前まで使ってたやつは100万ジェニーくらいしたって親父が言ってたよ」


ク「さすがはお前の家はセレブだな」


イ「あ、そういえば」


ク「??」


イ「親父がキルに新しいスケボーを買ってあげるって言ってた」


ク「それを先に言え…。私たちが一生懸命選んだところで被ってしまうではないか」


イ「うん、親父のことだからどうせ200万とかのちょっと高級なやつでも頼んでいるだろうし。君の今月のカットされた給料じゃ、全く手が届かないよね」


ク「私だって傷つくときはあるんだぞっ!」



二人は店を出た。




ー家電用品店にてー


ク「うあー。癒されるー」


イ「がったんごっとん(終始無表情)」


隣の家電用品店に入った二人は
試供品のマッサージチェアーを堪能していた。


店員A「店長…あの二人…もう三十分くらいあのままです…」


店長「うむ…あと10分経ってあのままなら注意しよう」


ー10分後ー


ク「ぐーすかぴー」


店員A「て、店長!金髪の方は寝てますよ!!」


イ「がったんごっとん(無表情)」


店員A「長髪の方も瞬きすらしませんよ!きっと目を開けたまま寝てますよ!」



店長「お、起こすべきなのだろうか…(金髪の方はそうでもないが長髪の方はあれだ、なんか怖い、実を言うと話しかけたくない)」



ク「はっ!何時の間にか寝てしまったのだよ」ぴくっ


イ「疲れてるの?」



店員A(長髪起きてたー!てゆうか瞬きしなくて大丈夫なの?ドライアイなの!?)


店長(よ、良かった…)


注意することをまぬがれた店長は胸をなでおろす。



ク「そういうわけではないのだが…ついつい眠くなってしまうものなのだな」


イ「君、普通に寝てたけどね」


ク「よし、そろそろ見に行くぞ」サッ


イ「何を?」


ク「ゲームなんてどうだ?よくよく考えてみればキルアはゲームが好きだし。喜んでくれそうだぞ!」


イ「あ、なるほどね」サッ



店員A「予想はしてましたけど使うだけ使って結局買いませんでしたね」


店長「ああ…」


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