memo
home

▽eoat sss

(ジャックとゴドウィン)
「………」
「あの者に興味がおありのようですね」
「はっ! 冗談を言うな。それはお前の方だろう」
「見破られてしまいましたか」
「俺を誰だと思っている。大方引き抜きの算段でも練っているといった所だろう。違うか?」
「はい。彼はあの不動博士の才能を十二分に受け継いでいる。その能力は我が組織に引き入れるに値します。埋もれさせるには惜しい稀有な才能です」
「ほう、そこまで言わせるか。なんにしろ、俺は舞台に上がらない奴に興味は無い」
「もし走れたとて、貴方の敵にはなりますまい」
「当然だ。何を企んでるか知らんが、俺の舞台を汚すような真似だけはするな」
「承知しております。私の都合がキングを煩わせるなど、あり得ません」
「フン。ならいい」


2011/09/29 21:38

▽eoat sss

(龍可とアキ)
「逃げたい?」
「え?」
「貴女、無理矢理連れて来られたのでしょう?」
「だ、誰!?」
「さっさと答えて。ここから出たいの?」
「出たいに決まってるじゃない! ここから出して!! 家に帰してよ!!」
「わかった。出してあげる」
「……本当に?」
「ええ。でもたとえここから脱出できたとしても、また捕まったら意味ないわ。貴女一人で彼らを振り切ることができるかしら」
「そんな……そんなの無理よ……」
「なんてね。平気よ。もうすぐ助けがくる。貴女にそっくりな子も混じってるわ」
「!! まさか……龍亞!? どうやってここに!?」
「まさかこうも容易く突破されるなんて。あなたのお兄さんは、相当の実力者を味方につけたみたい。……はい、開いたわ」
「……あなたは、ここの人でしょう? どうして――」
「そうよ。でも私は誰の側の人間でもないし、何者にも縛られない」
「じゃあなぜここにいるの? どうして助けてくれるの?」
「そんな事詮索している場合? 早く彼らと合流なさい。私の気が変わらないうちに」
「あの、ありがとうございました! えっと――」
「魔女」
「魔女?」
「<黒薔薇の魔女>――ここではそう呼ばれているわ。じゃあね、龍可」


2011/09/29 21:29

▽eoat sss

(遊星とブルーノ)
「遊星! あの話聞いたか?」
「? 何のことだ?」
「あのイリアステルが“調律師”を捜してるらしい」
「……“チューナー”? ただの都市伝説じゃなかったか?」
「あそこが動くなら、本当に実在するのかもしれないぞ? 今どこの部署もその話題で持ちきりなんだ」
「デマじゃないのか? その話」
「いいや間違いない。噂の出所から何から何まで、“チューナー”に繋がるような情報がないか徹底的に調査してるらしい。実際にうちの社員も聞かれた奴がいるって」
「いるのかも分からない人物を捜すとは、ご苦労なことだ。余程暇でしょうがないんだろうな」
「流石世界一の大企業さま。色々有り余ってるんじゃない? でも本当にいるなら、どんな奴なんだろう」
「さぁな」
「見事に興味無いって感じだな。走り屋兼技術屋として、“チューナー”にどうチューンされるか気にならないか?」
「噂通りなら御免被りたい。ただの凡庸マシンを死神にされたら仕事にならないからな」
「ははは、言えてる」
「もし“チューナー”が見つかったとしたら……」
「お?」
「チームに引き入れる気なんだろうか」
「そうに決まってるさ! 今でも負けなしなのに、これ以上やられたら誰も勝てないよ」
「――無駄なことをする」
「なんか言ったか?」
「いや、なんでもない」


2011/05/23 22:06

▽eoat sss

(亮と翔)
「翔。少しいいか?」
「うん。何? ……どしたのコレ」
「依頼料だ」
「は?」
「近所の花壇の植え替えを手伝ってきた。その帰りに貰ったんだが」
「い、何時の間にそんな素朴なことを」
「今日になって先生に急に頼まれた。町内活動に貢献しろ。ついでに息抜きしてこいと」
「断らなかったんだ」
「数日前に正式に受けた依頼だったらしい。特に予定もなかったし、時間が差し迫っていて断れなかった」
「あー…嵌められちゃったんだ。それで、息抜きできた?」
「どうだろうな……。女性ばかりで戸惑ってしまった。それにまともに働いた覚えがない」
「え、じゃあ何してたの?」
「苗の配布の補佐と苗が植わっていた容器の回収。見たかぎり一番楽な作業だった。男手が必要だから呼ばれたと思っていたんだが、何故か力仕事しようとすると全力で断られたんだ。そんなに俺は貧弱に見えるか?」
「それは、たぶんそうじゃなくて…うん…それでその依頼は良かったんだと思うよ。なんかまた近いうちにお声かかるんじゃないかなぁ。それも指名で」
「……断れないな。依頼と言われてしまうと…」
「今度頼まれたら、一人で行くんじゃなくて他にも誰か誘ったら? その依頼なら人増えても別に平気でしょ。僕も暇だったら行くよ」
「そうする」
「まぁ、それはおいといて――その花、事務所じゃダメなの?」
「育てあげる自信がない」
「だよねぇ。僕らがやると悉く枯らしちゃうもんなぁ」
「余計な手を加えるより、いっそ庭に植えて放っておいた方がいいかもしれない」
「最終手段はそれだね。その前に引き取ってくれる人がいないか、皆に聞いてみよう?」
「……あの面子にいるか?」
「わからないよ。人は見かけによらないもん」


2011/05/19 09:42

▽eoat sss

(十代と大徳寺)
「ぶっちゃけ、先生ってどこまで視えるんだ?」
「月の裏側」
「え」
「なーんてにゃ♪」

「……マジ?」


2011/05/16 11:37

prev | next




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -