スキャンダル・イヴ 2




不眠不休もなんのその!人気アイドル発ちゃんは今日もキラキラときめいてるぜ!
なんつったって今日のトーク収録!願ったり叶ったり、憧れ続けて早10年。ついにあの妲己ちゃんと――!!

「妲己!」
「紂王の!」
「「晩婚さんいらっしゃーい!!」」

「そのマイクを持って着いてくるがいい」
期待した俺が馬鹿だった…逃げてぇ。早々に。
「して何故独身のまま今日まなのだ?予ほどではないがいい男ではないか」
「はっ!そりゃー俺にはこんなに大事なプリンちゃんがいるんだぜ?応援してく…」
「モテないのよねん」
「い、ちっ…が―――う!!妲己ちゃん違ッ」
「そうか気の毒に…」
「気の毒じゃねぇ!」
「予と妲己のラブラブを見習うといい」
「…見習っていいのかよ?膝借りるぜ?」
「わらわに触れられるのは紂王様だけん!」

ピンクの髪にピンクのドレス、ピンクの香りにピンクの微笑み、どす黒いピンクの椅子に古ぼけたYES NO枕…。くそっ!殷テレってなんでこんなに予算ねぇんだ!夢が…俺のプリンちゃんが妲己ちゃんが…

「突然だけど姫発ちゃん?」
「…へっ…お、おう!」
妲己ちゃんが俺の名前っ…うわ!生きてて良かっ…
「姫発ちゃんにはお兄さんがいるのよねん?」
フリップ?
「え?あ、ああ…」
なんで麗しの妲己ちゃんのピンクのネイルにフリップ?なんで超絶笑顔?
「あーでも一般人だからよ、顔出しNGで…」
だからそのフリップ!
「今日は伯邑孝ちゃんのお写真を用意したのん…おいしそう」
「あ゙―――っ」
だぁあ――――止めて止めて!ひっくり返すな兄ちゃん出すな!!
「いやーんイケメン!」
「世よりもかっ!?」
「いやっ…止めっ…」
巻き起こる悲鳴に伯邑孝コール。なんだよスタジオのキャーって!おかしい絶対!だって今日の観覧俺のファンクラブのプリンちゃんたちで…
「お兄さんかっこいー!」
「なんだよそれぇ!!」

……酷い、ひでぇよあんまりだ。
米印付きのピンクのテロップで、"伯邑孝ちゃんの許可済み"だってよ。…ちくしょう、兄ちゃんは昔から押しにめっぽう弱いんだ、俺は兄ちゃんにめっぽう弱いんだ。トーク内容なんて覚えてられるか畜生!
こうして脆くも崩れ去る姫発帝国。
もうアイツとダブル主演で決まってた"帝は辛いよ"シリーズ、ストライキしてやるボイコットしてやる!飛んでけ興行収入!!知るかー!


「……僕に決まった様ですね、"代役"」
「楊ゼーン…なんでお前」
楽屋の空調になびく髪が鏡越しに俺を見てる。なんだってこう…
「僕だってイヤです、ツアー控えてるのに。しかも不出来な次男役ですよこの僕が!」
「俺だってそもそもやりたくねぇけどよ!いくらなんでもっ…」
「貴方がいつまで経っても子供染みたストライキなんて決め込むからじゃないですか」
「だからって受ける奴があるかよ!友達甲斐ねぇ…」
「"代役"ですから。貴方が戻りたいなら戻って下さい今すぐに!」
「ぐっ」
「まずは謝罪会見からですか、大変ですね」
「………う」

もういやだ。
いいよ、楊ゼンやってくれ…。もう会見関連こりごりなんだ。落とした首上げる力も残ってねぇや。やっぱあれか、青汁飲まなきゃなんないのか俺。
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