コントラスト(*)(1/3)




仲良く息を切らせて遅刻ギリギリの王サマこと発ちゃん天化タッグに、続・勘違い伝言ゲーム旋風。

「うわ…バッカじゃないのアンタたち…」

呆れ顔で盛大に毒づいた蝉玉と、更に活気付くギャラリー。

悲劇だどっちも負けたぞオイ!それで負け組み二人の発ちゃんと天化か、かわいそうってゆーかなんてゆーか、男の友情だほっといてやれよ、王サマがご乱心だー!いや俺らチャンスじゃないか?蝉玉!ええー結局蝉玉は土公孫なのか?うそだと言ってくれー!

「てんかぁ」
「……ばっ」
囁く伝言ゲームのギャラリーは何処へやら。戯れる小声は、今や横並びの8番と9番。右の席から伸びるイタズラな手に飛び上がる肩。二人の耳には最早ノイズと化したそれ。
「…なにするさッ!」
「べつにー?スキンスップじゃん、な?」
傾げる首に満足気な色気の流し目。襟足で遊ぶご機嫌な白い指。ほったらかされたホームルーム。
「な?じゃないさッ!」
昨日首をひっくり返して隣を避けた険悪な天化は何処へやら。
「なんで?」
「…んでって…」
牽制する目がそわそわ泳ぐ。
「もっとスゴイコトした癖に」
「―――ッ―!!」
耳元で囁く声に、襟足をつついて撫でる人差し指が喜んで戯れる。
ああ、最初に屋上であんなことしてたときより関節太くなったさー…あ、部活始めてから…?
違う、突っ込むべきはソコじゃない!

「ええいそこのダアホー!」
いくらなんでも薬が効き過ぎた。寧ろ副作用だ。公害規模だ。繰り出した二連発。指し棒と出席簿で気持ち良くぶったたかれた色ボケ二人が、担任を通り越して遥か彼方。黒板の上を見る。
「返事せいっ!」
「はーぁい」
「…うぅ…気色悪いのう」
怒らせたら怖いあの先生がとうとう項垂れた。
ぼんやり見える毛筆のホウレンソウ。報告、連絡、相談。一体ナニを?
「ねぇ、アンタたちさぁ」
「「ん?」」
「ハモんないでよ…」
蝉玉の声も三つ編みも、今日ばかりは威勢がない。

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