ふと弟に既視感を覚えた昼下がり。

アイツ──あ、うちの末っ子雷震子な。キバと黒羽つけて帰ってきたかと思えば、いつの間にか俺なんか茅の外でさ、ちっこい赤毛のヤツと盛り上がってやんの。そうそう、アイツ、ナタクっつったか。

宝貝人間、なーんて言うらしいが、成る程なかなか荒っぽい性格してやがる……けど、ほら、天化んトコの一番下には優しいしな？
フツーの人間と変わりない、所謂お年頃のオトコノコなワケだ。
何だかんだ、雷震子のこともド派手に気にかけてくれちゃってたりするワケで、毎日二人で飛び回っちゃあ上空でギャンギャンやってやんの。

本来大人しくて引っ込み思案のかーわいいヤツだった雷震子が笑うのは、気付きゃあの子の前だわな。アレだろ？
"一緒にいるとらしくいられる"……ってこと。

どうやらアイツ、自分が拾われた子……ってのを気にしてるらしくてさ。俺以外の兄弟連中に対しては、ちょっと腰引けちまうことがあってよ。
そしたらどうだ。あのナタクってのも、母親が異形の自分を命懸けで産んだことを気にかけて、父親さんとも犬猿の仲らしい。
まぁ、そうやってなかなか難しい事情抱えた同士だからなのか、今まで末っ子気質バリバリだった雷震子のヤツが、ナタクには兄貴風吹かしてしっかりやってんだよな。くううー発あんちゃんは嬉しいぜ!!

ってか、まぁわかりやすくホの字だしな、アイツらどっちも。
雷震子は案外そゆとこ鈍いヤツだから、ナタクがガンつけてるとしか思ってないらしいが、あーあー勿体ねーぇの！

……って、ちょっと待てよ？
どこかで見たんだ、こんな光景。

拾われたのがコンプレックスの、恋愛おニブの騒がし系おバカさんと、命懸けで自分を産んだお袋さんが大好きな、ぶっきらぼう三白眼の暴力的悪ガキ、むっつりスケベ……って────！

「──あああ！わーったぞ雷震子！さてはお前"こどものおもちゃ"読んだろ!?読んだな!?」
「なにバカ言ってんだ小兄……」

(c)小花美穂

「王サマ、いつ少女漫画なんて読んださ……」
「天化は玲くんな！」
「誰がグラサンツッコミ男さ!!」
「……お前も読んでんじゃねぇかよ……」


※わかる人にはわかるネタ
→倉田紗南→雷震子
→羽山秋人→ナタク
で、お送りしました。
ハリセンのさらさら黒髪美人風花ちゃんは周公旦でどうぞよろしく！