殺人兵器
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「く…っ!!!」
赤、赤、赤 。
「や、やめてくれぇ!」
血、血、血。
『里の機密文書を持ち出した抜け忍の分際で助けを乞うなんて、無様ですね。』
真っ黒な装束に狐の面を被った小さな少女は森の中でそう呟く。
彼女の片手には血がべったりとついたクナイ。
『…ふぅ。』
さっとその血を払い、自分が殺した死体を集める。その数ざっと60人。
火遁で燃やせば蛋白質の焼ける独特な匂いがあたりを充満した。
それをぼうっと眺めていると、彼女の頭上で忍鳥が旋回するのが見える。
『今行きますよっと。』
そう零せば 小さな少女はその場からしゅん、と居なくなった。
人々は彼女をこう呼ぶ。
"殺人兵器" と。
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