ねぇ、そんなに頑張らなくたっていいんだよ?
もっと、もっと、私のこと、頼ってほしいの。



「一ちゃん、大丈夫?」

「ああ」


いつもそうやって笑うんだね。


「一ちゃん、無理してない?」

「ああ」


いつもそうやって私の頭を撫でてくれる。



強くて、優しくて、かっこいい君。


いつか、私の胸を頼ってくれるのを、待ってるよ。
ううん…でも、いつも一ちゃんには笑っててほしいから。
辛い思いなんて、してほしくないから。


「一ちゃん、頑張れ」

「おう」


一ちゃんが笑っててくれるなら、それでいいかな。





けれど、笑えない時間はやってきて、青城高校の、一ちゃんの高校バレーの時間は終わった。


「一ちゃ」

「わりぃ…ちょっとだけ肩貸してくれ」


私が言葉を発する前に、一ちゃんは私を抱きしめて、身体を預けて、肩を自分のおでこを乗せてーーー泣いてた。



私はなにも言うことができなくて、強く抱きしめ返すことしか出来なかった。


「…お疲れ様。かっこよかった。惚れ直した」

そう、言うのが精一杯で、頼ってほしい、だなんて思っておいて、私は一ちゃんを励ますことすらできなくて。


でも、

「なまえがいつもそばにいてくれたから、頑張れた。三年間…ありがとう」


一ちゃんは、そう言ってくれるんだね。


「私…一ちゃんを支えられたかな」

「あたりめーだろ」


顔を上げた一ちゃんの表情は、晴れ晴れとしていて、笑ってて、

ああ、やっぱりこの人は強い人だなって思った。


「ねぇ、一ちゃん。これからもそばにいさせてね。ずっと、ずっと、一ちゃんがプロになっても支えるから」

「プロポーズかよ」

「あはは、確かにそうみたい」




一ちゃん、大好きです。



あなたのそばにいて、支えること、

それは私だけの役目だからね。












ちょっとしんみりしたお話にしてみました。
明るい話しも、しんみりしたお話も好きです。
prev next
back