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俺のものしかありえない




「あ」

「ん?」

私の首にキスをしていた徹が、小さく声を洩らした。

「なに?」

私の顔を見つめる徹に首をかしげると、「なんでもないよ」そう言って私の頭を撫でて今度は口にキスをくれた。

「あ、俺今日ホームルーム長いから先に部活行ってて」

「ん、わかった」






放課後。
私はマネージャー業の為、体育館へ。




「……」

なんっかさっきからジロジロ見られてる気がする。

「なんかすっごい私のこと見てない?なに?気になるんだけど」

近くにいた金田一に聞けば、物凄くテンパった様子で、首を左右に勢い良く振る。

「え!や!その、なまえさんの、いや…なんでもないです」

「なにそれ。ねぇ国見ちゃん私なんか変?」

次に国見ちゃん。
いつも冷静で飄々とした国見ちゃんなら何か分かるかもしれない。


「まぁ変って言えば変です」

「え、髪の毛ボサボサ?」

さっき鏡で確かめたんだけどなぁ。

「いや、あー…、まぁなまえさんはそれでいいと思います」

「なにその適当な答え!」

すごくめんどくさそうな顔で言われた。
なんなの今日!皆変だよ。



「おいーっす」

「あ、岩ちゃーん」

岩ちゃんに駆け寄ると、眉毛を寄せ、不機嫌そうな表情をされた。

「岩ちゃんまでなによぉ……」

「首」

「へ?」

「くーび」

岩ちゃんは自分の首を指差す。
私は自分の首を触る、が何も分からない。

「触ってもわかんねーよ」

そう言って岩ちゃんは窓を指差す。
暗くなってきた体育館の窓は鏡代わりになる。

首近くまで上げていたチャックを少し下ろすと、そこには皆の態度に納得がいくものが。


「………ナニコレ」

「まぁお前の目線からは見えにくいけど上からはめっちゃ見えてんぞ」

首には真っ赤な印。
所謂ーーーキスマーク。

犯人は誰かなんて考えなくても分かる。


「クソ川……!」

あいつホントにしめてやる。



「なまえちゃーん岩ちゃーんみんなーヤッホー」

「おい」

体育館に入ってきた徹の胸ぐらを掴む。

「え!なに!?なまえちゃん!!?ホントになまえちゃん!?岩ちゃんが乗り移ったの!!??」

「ホントあんたなにしてくれてんの…?」

首を指差せば、徹はにっこりと笑った。

「あれー?バレちゃった?」

「私さっきまで気付かずに過ごしてたんですけど」

「ごめんごめん。ちょうど良かったから」

「なにが」

ものすごい不機嫌な私のことを抱き寄せると、キスマークがある位置にもう一度キスをして、思いきり吸われた。


「っ……ちょ、徹…!」


「俺のもの、って印」


唇を舌でペロリと舐めた徹があんまりにも妖艶でときめいてしまったのは内緒。


「バカ」

「今度なまえちゃんに俺も付けてもらおーっと」




俺のものしかありえない
(「クソ川となまえ、爆発しねーかな」)







あとがき

イチャイチャを見せつけられた部員達。


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