冷たい雪と、紅いほっぺ




「じゃんけん…ぽいっ」

部活終わりの恒例の日向と私のじゃんけん大会。
決めることは、自転車をどっちが漕ぐか。


「やったあ!今日は日向が前ね!」

「ちくしょー!明日は勝つ!!」

日向は渋々自転車を取りに行って、私の前でゆっくりと止まる。
後ろに跨ると、ギュッと日向の腰に腕を回す。

最初は死ぬほど照れていた日向も、もう何百回目かになれば平然とした顔で私を受け止める。

私と日向は所謂幼馴染。小学校から同じクラスで、もう兄妹のように育ってきた。

自転車を初めて二人乗りしたのはいつだっけ。


『えっ!日向、中学に自転車で行くの?バスじゃないの!?』

『おうっ!いい運動になるし!!』

『じゃあ私も自転車で行く!』

『えっ!?なまえにはキツいよ!!』

それでも毎日一緒に登校してたのに、いきなり一人なんて寂しいもん。

『でも日向と一緒がいいもん』

『……そ、え、じゃ、じゃあ、後ろ乗ってけよ!』

『いいの!?』


なんて話になってそれからだよね。
最初は私が日向にくっつくたびに、「ぎゃー」とか「わー」とか言ってたよね。

中三になってからは、じゃんけんで漕ぐ人を決めるようになって、いっつもじゃんけんしてたっけ。




「影山!ツッキー!山口!やっちゃん!また明日ねーっ」

自転車の後ろに乗って、私が手を大きく振れば、やっちゃんと山口だけは同じように振り返してくれた。

「ラブラブですネー」

なんてツッキーにからかわれて、

「ちょ!日向!ちゃんと漕いで!」

日向が動揺するのもいつも通り。




「お昼雪降ったから積もってるね」

「だなー。滑りそう…!」

「えー、気をつけてよね」

なんて笑って私達の家へと自転車を走らせる。

その途中、誰も足跡をつけていない綺麗な雪を発見した私達はもちろん自転車から降りて、足跡をつける。子どもみたい。

「日向みてみて!雪だるま作った」

「スゲエエエ!俺も作る!!」

日向は素手で雪を触り出す。
見てるこっちが寒いのに、本人は全然寒くなさそうですごいなぁ。


「なまえ見て!できた!!!」

「あははっ、日向下手くそ!」

不器用な日向。顔の方が身体よりおっきくなってるよ。


「うううう冷えええ…」

「手袋しないからでしょ」

日向の手を両手で包んだら、顔を真っ赤にして、固まってしまって、まだ幼馴染の私に照れるなんて感情残ってたのか…なんて感動したり。

「っ!…っっ!!!」

「え!?ちょっと!日向!?生きてる!!!??」





これからも一緒にいようね、日向!




冷たい雪と、紅いほっぺ
(これからも一緒!)





あとがき

日向となまえちゃんは付き合ってるんですかね!?
でもきっとずっと一緒にいると思います。



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