Darling




『ねぇDarling、ねぇDarling』



「クロー?クロってばー」

もうすぐ主将会議が始まるからって澤村達は準備してたのに、クロってば一向に部屋から出てこない。



『またテレビつけままで、スヤスヤどんな夢見てるの?』



二回ノックしても返事はない。
ゆっくりと扉を開けて、部屋へと足を踏み入れればそこには気持ちよさそうに眠るクロ。
ついでに監督達に、つけちゃダメって言われてたテレビをつけっぱなし。

「もうっ…クロってば」



『ねぇ、Darling 脱ぎっぱなし。靴下も裏返しで。もー、誰が片付けるの?』



とにかく男子部屋は汚い。
特に散らかすのはクロや山本やリエーフ。

「クロ、靴下散らばせすぎ…」

とか言いつつ拾ってまとめてあげる私はなんて優しいんだろう。
あとから何か奢ってもらおう。



『いつか友達と語り合った理想の人と。まるでかけ離れてるのに』



クロの寝顔は可愛い。
いっつも口が悪いクロだけど、寝てる時は静かで可愛いのだ。

ほんとなんでクロのこと好きなんだろ。

私はずっと、

王子様みたいに優しくて、守ってくれる人がいい!なーんて言ってたのになぁ…。


ちらりと目の前で眠るクロを見る。

王子様というより、悪魔。
優しくはなくて口が悪くて意地悪。
守っては……くれる、かも。



『Ahなんで、好きになっちゃったのかなぁ。私って少し変わり者なのね』


クロの真っ黒の髪の毛を触れば、くすぐったそうに少し身をよじる。



『Ahこんなにも、ほっておけない人は、星の数ほどいるなかで ねぇ Darling……』



「クーロ、主将さん達みんな集まってますよーー」

身体を揺すればやっと目を開けて、こちらを見つめる。

「んぁ、なまえ…?」

「そう。起こしに来てあげたの」

大きな欠伸をして、伸びをして、私にギュッっと抱き着いてきた。

「…なんですか」

「疲れたからなまえで充電」

「寝てたじゃん」

「身体の疲れは取れても心の疲れが取れないんですー」

なにそれ。なんて思いつつにやけちゃうのが私がクロにべた惚れしている証拠。

「はいはい、お疲れ様です。主将さん」

「んーーーっ、行くかぁ」

「ん、頑張って」


私から身体を離すと、もう一度伸びをして立ち上がる。
私が手を伸ばせば引っ張って立たせてくれた。


「場所どこだっけ?」

「もー…、二階の大部屋」

「りょーかい」

私の頭をポンポン、と二回叩いてクロは行ってしまった。
まだ少し眠そうな後ろ姿を見送ったあと、食事の準備のために食堂へ向かう。


クロのお世話が終わったところで、

私も頑張りますか!



『ーーーあなたしかいない。』






Darling
(そんなあなたが大好きよ)

引用歌詞 Darling/西野カナ様
『』←引用部分。




あとがき

私の大好きな曲をお借りしました。
とても可愛らしい歌詞がものすごく好きで、彼氏ができたら是非歌いたいです。彼氏ができたら。彼氏が……。


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