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  無題(和宮様/カノシン)





残酷すぎて笑える。
神様って奴は理不尽な罰を与えるのが相当好きらしい。
子供の頃からいつもそうだ。
大切なモノが出来てしまうと、子供が玩具を取り上げられるかの様に全てを奪い去っていく。
手を伸ばしても伸ばしても伸ばしてもどんどん離れていって、二度と僕のところに戻ってこないのだ。
辛い、悲しい、酷い…そんな言葉では言い表わせない。でもいくら泣き叫んでも無意味なんだよ、そう理解したら少し気持ちが楽になった。
楽になって、安心できて、何も感じなくなった。
そして今の自分が出来上がってしまったのだ。
だからもう苦しまないって思っていたのに…どうして僕の周りには大切なモノが増えていくんだ。
「…さん、カノさんっ」
ああ、この声は間違いない。
また新しくできてしまった僕の大切な人だ。
突き放そうって頑張ったのに、一人で居たかったのに、君は僕から離れようとしなかった。
それどころかどんどん近づいてきて、今まで我慢してきたのが全部壊れてしまった。
「寝るなら他で寝て下さい。此処で寝ると風邪引きますので」
背中が遠ざかる。
もう嫌だ嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!
二度と離したくない。君の事が大好きだから、僕のモノにしてしまいたいから、他の奴なんかに渡したくないから。
「えっ!?か、カノさん、何で抱き付いて…えぇえ!??」
そうなってしまう前に奪って独占してやる。
笑うなら笑え、いくらでも笑えばいい。
だけどその目に焼け付けろ、自分のクソみたいな運命を今度こそねじ負けてやる。
さぁかかってこい。
ガキの悪あがきを見せてやるよ、神様。




end


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影踏み/和宮様/50000打フリリク小説

素敵なシリアスカノシンありがとうございます!抗うカノも素敵なシリアスな話がおいしいです☆

50000打おめでとうございます!










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