小説 | ナノ




  小さな僕は…(アラ→アリ)




身長差…

気にしない人は気にしないけど、僕はとても気になる。今まで身長差なんて気にしなかったけど、アリババくんと出会ってから気にしてばかりだ。彼氏としては、彼女?という表現が正しいかわからないけど、恋人のアリババくんより小さいのはなんだか悔しい。キスするのも大変だし、見た目もなんだか不格好。だから僕はもっと身長が欲しいんだ。
僕はまだ幼いからこれから伸びると思う。けど伸びるからって今すぐアリババくんくらいになるわけじゃない。

「僕は今すぐ身長が欲しい」

そう言ったってすぐ身長が伸びるわけない。わかってるけど、つい口にしてしまう。

そんな、ないものねだりしても無駄だ。
僕はそう思って眠りについた。









「朝かぁ〜」
窓から差し込む光によって起こされた。

いつものように顔を洗いに洗面所に向かう。
洗面所には鏡がある。鏡は嫌いだ。自分の小ささを思い知らされるから…。


グダグダ思っても仕方がない。早く顔を洗ってアリババくんに会いに行こう。

そして洗面所にある大きな鏡の前に来ると驚いた。そこにはアラジンが映っていた。それだけなら驚かない。驚いた理由はいつもの小さなアラジンではなく、約180cmくらいもあるアラジンが映っていたからだ。

「えっ、僕!?」

ペタペタと両手で自分の体を触り確かめてみる。確かにいつもの自分とは違いでかい。
それに今思えば部屋の物が低かったり、小さかったりしていた。

「本当にでかくなった…」

自覚したら嬉しさがこみ上げてきた。

「やった…。やったー!僕でかくなった!」


アラジンが喜んでいると
「アラジン朝からちょっといいかしら…ってええーーーーーーー」

ヤムライハの叫び声が響き渡った。







「これは私が思うに日頃の疲れや、精神的ストレスなどによりルフが一時的に異常をきたし体が大きくなったんだと思うわ。ただでさえあなたは未知のマギ。何が起こっても不思議じゃない」

「いつ元に戻るの?」

「おそらく1日程度で戻るハズよ」

「そっか…」
まさか1日程度で戻るなんて…。
せっかく大きくなれたのに。


ガチャッ
「ヤムライハさん師匠が呼んで…ええーーーーー」
今度はアリババの悲鳴が響き渡った。


「アリババくん!」

「お前アラジンだよな?」

「うん、そうだよ」

「なんでそんなにでかくなってるんだ?」

「それはね…」
アラジンはこれまでの経緯を話した。アリババは納得したらしく、そうかそうかと頷く。


「私はあのバカが呼んでるらしいから行くわね。何かあったら呼んでちょうだい」
ヤムライハはシャルルカンのもとへ向へむかう。



お互いになんだか照れる。

「あー、えっとアラジンが俺よりでかいなんて、なんか新鮮だな」

いつもとは違いアリババがアラジンを見上げてる。

「えへへへ」

アラジンはアリババに抱きついた。


「うわ、ちょっ急になんだよ」

「だってアリババくんがちっちゃいんだよ」

「お前がでかくなったんだろ!」

「あっ、ねぇアリババくんキスしていい?」
唐突だった。
キスという単語にアリババの顔は赤くなる。

「えっ、ちょっ、まっ…」
アラジンの唇によってを塞がれた。


「んっ」

「えへへへへへ奪っちゃった」

なんだかいつも以上にアラジンが積極的だ。

「いつも可愛いけどちっちゃいアリババくんも可愛いね!!」

「可愛くねぇよ!……けどまぁありがとう。アラジンはカッコイイぜ」

アラジンの顔が暗くなる。誉めたのになぜか暗くなるアラジンを不思議に思った。

「どうしたんだよ?」

「……僕ね、いつも思ってたんだ。君のみる景色を見たいなぁって。けどこれは一時的で、自分の力じゃない。またすぐにいつもの小さい僕に戻って、アリババくんと不釣り合いの彼氏になる。カッコイイ僕じゃなくなっちゃう」


「そんなこと気にしてたのかよ。俺は身長なんて気にしてない。アラジンだから好きなんだ」

「えっ」

「それに…そのいつもアラジンはカッコイイぜ。身長なんてみんな徐々に大きくなっていくんだから気にするなよ」

「うん。ありがとうアリババくん!!」
やっぱり僕はアリババくんが好きだ。


そしてその夜僕はいつもの小さな僕に戻った。




確かに僕は大きくなりたいと願い一時的にでも叶った。
今でも早く大きくなりたいのは変わらない。

けど今度は自分の力で大きくなる。


それは確かに時間がかかるけどそのことに意味があるって気づいた。



そしてアリババくんと並んで同じ世界を歩んで行くんだ。


はやくおおきくなりたいな



end







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