小説 | ナノ




  けして叶わぬ夢(N←黒)





夢をみるのは罪ではない

だがそれが叶うことなどはけっしてない









「俺の夢はチャンピオンになって、緑が広がる草原の上に小さいけど立派な家に住むことなんだ」

そう言って一番近くにいたダイケンキの頭を撫でた

周りにはトウヤの大好きな手持ちポケモンたちがトウヤの話を聞いている


「そしてみんなと一緒に遊んだり、お昼寝したりして、のんびり暮らしたいな」

ポケモンたちも「賛成」と言っているかのように笑う


フフッとトウヤも薄く笑った


しかしトウヤの笑みはポケモンとは少しちがい、悲しげだった

「そして隣にはNがいて一緒に笑って、テレビ見ながらゴロゴロしたり、ポケモンバトルしたいのに……」

言葉が途切れる


するとダイケンキの頭に濡れる感覚がし、上を見上げると顔にまた濡れる感覚がした

ポツッ、ポツッと雨のように流れてくる


それがトウヤの涙だとダイケンキは気づいた

周りのポケモンも気づきだす



「……俺の隣にはNがいない。…なんでいないんだよ、N…」

声を押し殺して泣き出すトウヤ…


ポケモン達は言葉が見つからないといった感じに、戸惑っている

自分たちは大好きなトウヤとは話すことができないのはわかっている

だから今まで話せないなりに落ち込んでいるトウヤを慰めてきた



だが今回は何もできなかった

今までの比とはならないほどの悲しみ


自分たちには、どうすることもできない


ポケモン達は何もできない無力な自分たちが歯がゆかった


ただ自分たちにはできるのは一緒にいるだけ…


ポケモン達はトウヤに寄り添い、精一杯心の中で言葉を投げかけた



そんなポケモン達をみて、ぎこちなく笑う

「…ありがとう、みんな。俺はもう大丈夫だから」

だがポケモン達にはわかっていた



その言葉が嘘だと……












夢をみるのは罪ではない


だが現実をしって傷つくのは己自身






それが叶うことなどはけっしてない



end










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