【END私がサカガミくん?】 | ナノ
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『1、その場から逃げ出す』



……きっとそうに違いない!

そう思った瞬間、私は弾かれたように立ち上がって、その場から逃げ出していた。
「ああ、倉田さん!
待って下さい……。
僕たちの話が記事にならないって本当なんですか?
さっき、そういう情報が入ってきたんです。
そんなの嘘ですよね!?

倉田さん……!!」

……ごめんなさい。
その話は本当なんです……。
ごめんなさい……!
私は、心の中で謝りながら必死に逃げ場を探してた。
どこか……。
一人になれる場所はなかった?
どこか…………。

……そうだ!
私の足は、自然と女子トイレに向かっていた。
ここなら荒井さんは追って来れない。
そう思って一息ついていると、ふいに目の前にある個室のドアが開いて…………。

「きゃーーーっ!!」
ほ、細田さん……!?
ここは女子トイレよ。
なのに、なんで細田さんがいるの!?
「やあ、倉田さんじゃないか。
君も、このトイレが気になって来たのかい?
さすがだねぇ。

ここには恐ろしい霊がいるんだよ。
だから僕が調べてるんだ」
「……はぁ」

「倉田さん……。
あの時の七不思議の記事はボツになったんだって?」
…………ドキッ!
「それで、もう一度、会を開くんだってね。
今度は、新聞部の一年生の男子生徒が取材に来るって噂だよ」

「新聞部の一年生の男子生徒……?」

「うん。
確か……サカガミとかっていう名前だったと思ったけど」

「サカガミ……?」
昨日、新聞部の前で聞いた名前だ。
そっか、新入部員の名前だったのか……。

「あれ、知らないの?
おかしいなぁ……。
だって、倉田さんと同じクラスのはずだよ」
「同じクラス……ですか?」
「そうだよ。
一年E組のサカガミ・シュウイチ君」
……一年E組って、確かに私のクラスよね。

でも、そんな生徒いたかしら?

「僕、もう一度その会に呼んでもらおうと思ってさ。
倉田さんと友達になれたみたいに、そのサカガミ君とも友達になりたいんだ。
友達はたくさん欲しいからね。
ねえ、倉田さん。
僕を七不思議に呼ぶように、君からもサカガミ君に頼んでおいてくれよ。

とっておきの話を仕入れておくからさぁ……」

……サカガミ?
……サカガミ・シュウイチ?

「知らない……」
「えっ?」
「そんな人、知らない!」

私は、それだけ叫ぶとトイレを飛び出していた。



『1、そうしよう』



うん、そうしよう。
なんだか気になってしょうがないんだもの。
でも、よく考えたらサカガミ君のこと何も知らないのよね。
……とりあえず、新聞部に行ってみようっと。

私は階段を下り始めた。
その時……。
「恵美ちゃん……」
突然、首筋に生暖かい息が吹きかけられた。
「いやっ!」
背筋がゾクッとした拍子に足を滑らせて、私の身体は大きく宙に放り出された。

……落ちる!!
踊り場の床が視界に入った瞬間、私はとっさに目を閉じてたわ。
だけど、いつまでたっても衝撃はやってこない。

その代わり、ふわっと羽根のような物で、やわらかく包まこまれたような感触がした。
…………何?
何が起こったの……?
……おそるおそる目を開けると?

目の前にあったのは、見覚えのある人懐っこい笑顔!
「か、風間さん……!?」
「やあ、危ない所だったね。
階段を踏み外すなんて、君って、あんがいお茶目さんなんだね」
風間さんは、私をお姫様のように抱き抱えてニコニコしてる。

……もしかして、助けてくれたのかしら?
でも、ちょっと待って……。
私、階段を踏み外したんじゃないわ。
風間さんが、変なことしたからじゃない。

「ねえ、恵美ちゃん。
ここで会ったのも何かの縁だ。
これから僕とデートしよう」
「何いってるんですか!
私、それどころじゃないんです」
私は、風間さんの腕を振りほどくと、自分の足で踊り場の床に立った。

「あはは……。
あいかわらず照れ屋さんだね、君は」
この人と話してると、なんだか疲れてきちゃう。
「恵美ちゃん……。
ここがなんていう場所か知ってるかい?
踊り場っていうんだよ。

つまり、踊る場所のことさ。
さあ、踊らなきゃ駄目だよ、ベイビー」
「は、はあ?」
この人って、どうしてこうマイペースなのかしら。

「カモーン、ミュージック!
…………ずんたかったった、たんたたん。
たんたんたったん、ふんふんふふん…………」
風間さんは、怪しげな鼻歌を歌いながら、いいかげんなステップを踏み始めた。

私が呆然と見守る中、右に、左にクルクル回っては、ピョンピョン飛び跳ねる。
風間望…………。
いろんな意味で偉大な人だわ。
私は、こっそりとその場を離れようとした。
すると……。

「恵美ちゃん、踊らないのかい?
僕と一緒に踊ろうよ。
大丈夫。
この僕が、ばっちりリードしてあげるからさ!
……サカガミ君を捜すのは、その後でもできるじゃないか」
もう、風間さんたら………でも……。

……ちょっと待って!
今、確かにサカガミ君っていったわ。
風間さんには、彼のこと一言も喋ってないのに……!?

「ちょっと、風間さん!
サカガミ君のこと知ってるんですか?」
「いけないなぁ……。
この僕といる時に、他の男の名前を呼んだりしちゃあ。
そうやって、僕をじらすつもりかい?
でも、僕は負けないよ。

たとえ、恋のライバルが君のクラスメイトのサカガミ君であろうともね。
ふっ、しょせん、この僕にかなう奴なんていないんだからさ!」
「私のクラスメイトですって……!?」

私は、風間さんを置き去りにして駆け出していた。



『2、やっぱりやめておこう』



……やっぱりやめておこう。
よく考えたら、知りもしない人を捜すなんて、ちょっと無理だもの。
教室へ戻ろうっと。

ところが…………。
やだ、まだ荒井さんがいる!
どうしよう……。
もうしばらく、どこかへ隠れてた方がよさそう。
でも、どこへ行こう……。

……そうだ!
私の足は、自然と女子トイレに向かっていた。
ここなら荒井さんは追って来れない。
そう思って一息ついていると、ふいに目の前にある個室のドアが開いて…………。

「きゃーーーっ!!」
ほ、細田さん……!?
ここは女子トイレよ。
なのに、なんで細田さんがいるの!?
「やあ、倉田さんじゃないか。
君も、このトイレが気になって来たのかい?
さすがだねぇ。

ここには恐ろしい霊がいるんだよ。
だから僕が調べてるんだ」
「……はぁ」

「倉田さん……。
あの時の七不思議の記事はボツになったんだって?」
…………ドキッ!
「それで、もう一度、会を開くんだってね。
今度は、新聞部の一年生の男子生徒が取材に来るって噂だよ」

「新聞部の一年生の男子生徒……?」
「うん。
確か……サカガミとかっていう名前だったと思ったけど」
「サカガミ……?」
昨日、新聞部の前で聞いた名前だ。
そっか、新入部員の名前だったのか……。

「あれ、知らないの?
おかしいなぁ……。
だって、倉田さんと同じクラスのはずだよ」
「同じクラス……ですか?」
「そうだよ。
一年E組のサカガミ・シュウイチ君」
……一年E組って、確かに私のクラスよね。

でも、そんな生徒いたかしら?

「僕、もう一度その会に呼んでもらおうと思ってさ。
倉田さんと友達になれたみたいに、そのサカガミ君とも友達になりたいんだ。
友達はたくさん欲しいからね。
ねえ、倉田さん。
僕を七不思議に呼ぶように、君からもサカガミ君に頼んでおいてくれよ。

とっておきの話を仕入れておくからさぁ……」

……サカガミ?
……サカガミ・シュウイチ?
「知らない……」
「えっ?」
「そんな人、知らない!」

私は、それだけ叫ぶとトイレを飛び出していた。



※以下同文※



いったい誰なの?
サカガミなんて生徒、うちのクラスにはいないわ。

荒井さんがいないのを確かめてから教室へ駆け込む。

サカガミ君のことを調べなきゃ!


1、出席簿を調べる
2、友達に聞く



『1、出席簿を調べる』



私は、急いで教卓にある出席簿を開いた。

サカガミ……。
サカガミ……。
サカガミ……。
……嘘!
なんであるの?



『2、友達に聞く』



……そうだ!
友達に聞いてみればいいんだ!
「ねえ……。
サカガミ君、知らない?」
私は声を張り上げて訪ねた。
クラス中に響き渡るような大きな声……。
すると……?
「今日は、まだ見てないぜ」
「遅刻じゃないか?

この頃、来るのが遅いからな」
「倉田さんたら、サカガミ君みたいなのがタイプなの?」
「同じ新聞部だから、何か用があるんでしょ」

……サカガミ君は。
……サカガミ君たら。
怒涛のように押し寄せて来るみんなの声!
みんなは、サカガミ君を知ってるの!?
知らないのは私だけ……?
……なんで?
……どうして?



※以下同文※



私、そんな人知らないのに!
頭の中で、いろんな考えがグルグルと渦巻いてる。
放っておくと私まで呑み込まれてしまいそうで、目の前がくらっとなる。
サカガミ君て……いったい誰なの!?
……その時、誰かが私の肩を叩いた。

「どうしたんだ倉田?
朝っぱらから暗い顔して……」
ドキッとしたけれど、その声には聞き覚えがあった。
「日野先輩!?」

「おう。
倉田もE組だったんだな。
いや、一年の教室なんてめったに来ないからさ。
今日は、ちょっとサカガミに用があるんだけど……。

お前、あいつがどこにいるか知らないか?」


1、知っていると答える
2、知らないと答える



『1、知っていると答える』



「あ、はい……」
……知ってます。
そう答えようとしてた。
だって、クラスメイトでクラブメイトなのに、サカガミ君の存在を知らなかったなんて、恥ずかしくっていえないもん。
でも、その瞬間……。

「私、嘘つきは嫌いよ」
……聞き覚えのある声が耳元でしたの。

慌てて振り返ったけれど、そこには誰もいない。
……空耳?
なんだか背筋が寒くなる。
……そうね、嘘をつくのはやめておこう。
どこかで、あの人が私を見張ってるような気がしてしょうがない。
素直に答えればいいのよ。

そういって、微笑みながら……。




『2、知らないと答える』



「知りません……」
私は首を横に振って、そう答えた。

「そうか……。
あいつ、まだ来てないみたいだしな……。
まあ、いいや。
あいつが来たら、今日の放課後、部室に来てくれって伝えてくれよ。
俺からの伝言だっていえばわかるから」
……そんな!

存在すら知らないクラスメイトに、どうやて伝言を伝えるっていうの!?

「じゃあな、頼んだぞ。
俺、いろいろと忙しいからさ。
これから最後の一人に、話をつけに行かなきゃいけないんだ」
そういって、日野先輩が立ち去ろうとした、その瞬間……!
「サカガミ君、おはよう……」
廊下の方からそんな声が聞こえて来た。

日野先輩の目がパッと輝く。
「あっ、サカガミが来たようだな。
倉田……。
さっきの伝言もういいや。
俺が直接いうよ」

「えっ、日野先輩!?」
日野先輩は、私が止めるのも聞かずに廊下を走って行った。

慌てて私が廊下に出た時には、先輩の後ろ姿は廊下の向こう側に消えようとしていた。
日野先輩のそばに、確かにもう一人男子生徒がいた。
あれが、サカガミ君に違いない。
また、顔を見損ねちゃった。

どうしたら、彼に会えるのかしら……。
そういえば……。
さっき日野先輩は最後の一人っていってた。
……ということは。
きっと今日の放課後、七不思議の取材があるのね。
新聞部の部室で…………。

……けっきょく私は、一度もサカガミ君に会えないまま放課後を迎えた。
お互い、授業にはちゃんと出席してるのに、まったく顔が見えない。
しかも、今日は家庭科や体育みたいな男女別の授業ばっかり。

何かの陰謀としか思えないわ。

でも……。
今から、新聞部の部室で二度目の七不思議の取材があるという。
そこへ行けば必ずサカガミ君に会えるはず。
同じクラス……。
同じクラブ……。
……なのに、顔すら思い出せないなんて絶対変よ。

いったい彼がどんな人なのか、今日、この目で確かめてやる。
私は、キッと気を引き締めると新聞部へ向かった。

どんよりとした灰色の雲が空一面を埋めつくし、いつ雨になってもおかしくない天気。
吹く風もジメッとしていて、肌にまとわりついて離れない。
……まるで、あの時と同じね。
七不思議がある日は、いつもこんな天気って決まっているのかしら?

そんなことを考えているうちに新聞部についたわ。

部室のドアを開けると、いっせいに十二個の目が私に向けられた。
部室の真ん中におかれた大きなテーブルを囲むようにして、六人の男女が座っている。
……本当に何から何まで、あの時とそっくり同じ。
全員知らない顔……。

……前回のメンバーは、誰も参加していない。
さてと、そんなことよりサカガミ君は…………?
まだ来てないようね。


1、もう一度出直してこよう
2、しばらく待ってみよう
【END私がサカガミくん?】



『1、もう一度出直してこよう』



仕方ないわ。
もう一度出直してこよう。
今回は関係者じゃないから、あんまり長くここにいたら怒られてしまいそうだもん。

私は、クルリと後ろを向いて出て行こうとした。



『2、しばらく待ってみよう』



仕方ないわ。
しばらくここで待ってみよう。
……といっても、今回は関係者じゃないからイスに座って待つわけにもいかないな。
いいや、立って待とうっと。

私は、ドアのわきに立って待つことにした。



※以下同文※



すると……。
「あの、席に着かないんですか?」
一人が呟くように問い掛けてきた。
「あ、私は……」
六人は、不思議そうな顔をして私を見つめている。
「私……七人目じゃないんです」

思わず期待しちゃって、それだけいうのがやっとだった。
「じゃあ君が、僕たちの話を聞く新聞部の人なんだ。
日野から、話は聞いてるよ。
期待の新人なんだってね」
一人が、納得したようにうなずいている。

「私も聞いてるわ。
確か……、サカガミ君っていうのよね」
……ええっ!?
ちょ、ちょっと待って!
「うふふふふ……。
嬉しいわ。
取材に来たのが、こんな素敵な男の子だったなんて」

私がサカガミ君……?
素敵な男の子……?
みんな、何をいっているの!?
その時……。
……何!?
私は、窓ガラスに映った自分の姿を見て愕然となった。
そこに映っていたのは、白いカッターシャツ姿の男の子。

慌てて目を逸らしたから、顔はよく見えなかったけど……。
確かにあれは私だわ。
私、いったいどうなっちゃったの……?

「それじゃあ、そろそろ始めようか」

私の混乱をよそに、六人が語る学校であった怖い話が始まった。
でも、もう本当の七不思議は始まっている。
少なくとも、私の中では……。

この会が終わる時、私はいったい誰になっているんだろう…………。


そして恐怖は繰り返す…


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