未来への魔法 | ナノ
誰かが言っていた―プロローグ―


『人は弱く儚いものだ。』
と誰かが口にしていたのを覚えている。


「人は弱く」の言葉の意味は分かる。
人はちょっとしたことで追いつめられたり、悲しくなったり、
また、楽しくなったり、嬉しくなったりするのだ。

だからこそ「人は弱い」。
感情に左右されやすい生き物は人間くらいじゃないだろうか。


しかし「人は儚い」の真意は何だろう。
そのままの意味で捉えてしまうのは何だか変だ。
・・何故って、その”誰か”はいつも言葉に裏の意味をもたせていたから。


―――
少年が一人いた。
狭い部屋の中にひっそりと座っていた。

瞳は感情のない人形の様。
顔色も悪い。


少年は上司を失ったのであった。

時はこれより7日前に戻る。

誰かが言っていた
(感情に流されるな、絶対。)
(”彼”はいつも鋭い瞳で見ていた)


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