入学式が終わり、皆外に出始めた頃、私は1人今後のことを考えていた。
この後正十字学園は明後日まで授業はない。始業は明後日である。つまり高校のことではなく、祓魔塾のことである。

「あぁ、どうしよう。不安だ。自分で決めたことだけど私に出来るのかなぁ…」

そこで、一つため息をつくと、俯きながら歩き出した。

ドンッ

それがいけなかった、足元に人影があらわれたと思った時にはもう、人とぶつかっていた。
「うぉっ!?」
「あっ……っ…」

そのまま、私はぶつかった拍子に尻餅をつき、地面に座り込んでしまった。
痛い思いはしたものの、それを気にする間もなく、私は立ち上がり頭を下げた。

「ご、ごごこめんなさい。ま、前見てなくて…ほんとにすみませんでした!!」
「え?あ、あぁおう。俺は大丈夫だからよ。あ、頭あげてくれ」
「すみません。怪我とか、無いですか?」

ゆっくりとした動きで、様子を伺いつつ顔を上げる。パッと目が合った時 あっ、目つき悪い なんて少し思ってしまったのは黙っておく。
そんな事はさておき、どうやらこけたのは私だけらしく、彼にはいっさい、怪我が無さそうである。
初日からなにをやってるんだ、私は…
小さくため息をついて、ふと時計が目に映る。

あ、そろそろ祓魔塾に行く時間か……。

その事実を確認して、申し訳ないが、彼の元から立ち去ることを決意する。
もう一度顔を上げれば、何やら不思議そうに私の顔を見る、彼が視界に映る。

「なぁ、お前さ…」
「すいません、私行くところがありまして!もし何かあればまた教えてください。怪我とかしてたらちゃんと教えてくださいよ?お願いします!では!」

何か言いかけたようにも思えたが、私は言いたいことを言い終えると、ダッと駆け出した。
後ろで、私を呼び止めるような声も聞こえたが、気にしている暇はなく、ただ人気のない扉を探した。
お目当ての扉を見つけ、ポケットから鍵を取り出すと、ゆっくりと回し、ノブを捻る。

「あれ?私名前名乗ってない…」

ふとその事実に気づいたのは扉の中即ち、祓魔塾に入った後であった。


prevnext

[back]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -