「お前ら変わったよなー」
え?と声を揃えてこちらを見たエースと名前にくすりと笑みが溢れた。
そういうとこは変わんねぇかも。
「……なんつーか。うん」
大人になった。
二人は不思議そうに顔を合わせると、お互い首を傾げた。
あの事件以来、こいつらの関係性が変わったってことは知ってる。
そうじゃなくて、あの頃はどうしたらいいのかわかってないガキの恋愛見てるような気分だったけど、今はお互いを理解しあってて距離感がわかってるっつうか、やっば大人になったってことなんだろうな。
「いいと思うぜ」
「は?」
何が?と訝しげな視線をおれに送る弟に、なんでもねーよっ。と頭を撫ぜてやった。
「なんなんだよー、サッチにやられても嬉しくねーって」
もー。っとおれに対する悪態をついたエースは、名前ー。と早速彼女に甘えやがった。
腕を腰に回され、体格差のあるエースにしがみつかれた名前はされるがまま。
軽く戸惑ってるみてぇだけど、やっぱ嬉しそうで。なんだかほっこりしちまったぜ。
「サッチ何かあったの?」
「ん?いや、お前らの成長を実感してたまでだ」
「へんなのー」
あははっ。と笑ったあと、名前は未だ自分にしがみついているエースに、重いよー。っと訴えた。
「もうおれこのまま寝そう…」
「えぇー!それなら甲板行こうよ〜」
「んー、名前連れてって」
ここでベッドってならないところが二人らしいや。そこに笑いつつも、おれは甲板へ行くという二人を見送った。
「あいつら…、やったことあんのかな…」
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