「はぁ!?赤髪が絡んでたのか!?」
「あぁ」
船に船員達が帰って来た時は驚いたが、そいつらの表情を見ればいろいろ解決したのだとわかった。
名前を抱えたマルコが飛んで帰って来てすぐ、ちょうどミラノ達が来ると一日遊んで疲れたろうと名前を連れてった。きっと着替えやらなにやらされているんだろう。
その隙にマルコをつかまえてことの経緯を聞いた。
「エースのやつ、なかなか考えたな…」
「だろい、それも親父もグルだ」
「親父も知ってたのか!」
「あぁ、おれにも教えておいてくれりゃいいのによい」
マルコがはぁ。と溜息を溢す。
確かに、今回のことで一番肝を冷やしたのは間違いなくこいつだろう。
名前は行方不明になるわ。赤髪との約束を独断で破棄しないといけなくなるわで。
四皇同士の約束の破棄なんぞ、下手すりゃ新世界が荒れるところだ。
「それじゃ意味ねぇんだって!」
突然エースが割って入る。
飛ぶマルコに追いつけなくて、全力疾走してきたのだろう、ハァハァと息を切らしていた。肩で息をしながらそう言い切るが、エースの言葉におれ達は「は?」と首を傾げるしかなかった。
「マルコもみんなも本心で動いたからこそ、名前に届いたんだろ」
ニッ。といつもの純粋な笑顔を向けられりゃ何も言い返せねえ。
それに、こいつはたまに物事の核心をつくことがある。おれ達が黙ったのも今回のも、それだとわかったからだ。
「グララララ…エースの言う通りだ」
突然の親父の登場に驚くが親父がエースに「上手くいったようだな」と笑っていた。
「あぁ!親父が赤髪に頼んでくれたおかげだ!ありがとう!」
嬉しそうなエースの頭に親父の手が乗る。
そのままグリグリ抑えられているのを見ていればおれ達も自然と笑っていた。
名前の不安の原因だとか、どうすればそれがなくなるのかとか、エースなりに考えたんだ。だからこんな無茶な計画を実行したんだろう。
マルコを見ればやつもおれを見ていて、片眉を上げて笑った。
きっと、こいつもいろいろ理解したんだろう。
「エースおれからも礼を言うよい」
「いいよ別に、家族だろ。当然だ」
「ハハッ、そうだねい」
エースの奴、いつのまにか成長しやがって。
もうすでにこいつはおれ達よりも名前のことを理解している。
エースはさっき全力疾走してきたのと、喋ってたので荒れていた息をフーッ!と整える。
「んで!名前は!?」
その相変わらずさに苦笑いが出るが、ミラノ達が連れてったと言えば「そっかー」とちょっと寂しそうな表情を浮かべた。
仕方ねぇな、可愛い妹のためにいろいろ頑張ってくれたんだ。たまには褒美やらねぇとな。
「エース、今日はお前の食いたいもの作ってやるよ。何がいい?」
「えっ!ほんとかよ!じゃ肉!!」
「へっ、そうだろうと思ったぜ」
「そういや赤髪達はどうした?」
「ん?もう帰ったんじゃねぇか?」
マルコが言ったことでおれも気になって周りを見るが赤髪のものらしき船はない。
てか、アイツら来るにしても早すぎなかったか?
ここも新世界と言えど島に行くことを伝えたのは昨日だったはず。
たった一日でここへ来られるもんか?
それにもうすでに姿がないということは元の航路に戻ったのか…?
「あいつらは変な力を使うからねい…」
「あぁ、そういやそうだったな」
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