「そう…だね…」
名前から小さく絞り出された言葉はそれだけだった。
だけど確かにさっきよりも表情が柔らかくなったのがわかる。
ここまでカオに出てるのに、なんで自分の気持ちに気付かねぇんだよ…。
それでいてデュースといい雰囲気だとか言われやがって…。
ムカつく。
「お前こそ、最近デュースと良い感じらしいな」
それを言えば驚いたのか、すぐに顔を上げた。
なんでそれを知ってるの。ってカオだな。
すぐに表情を歪ませ、視線が彷徨う。
どう言おうか考えてる。
名前の考えてることなんて手に取るようにわかるのに、どうしてお前はおれへの気持ちに気付かねぇ。
「そ、それはユマちゃんが勝手に言ってるだけで…!」
取り繕い方はかなり怪しいが、名前はおれにウソはつかない。
名前がそう言うのわかってて言ったようなもんだ。
「だから、本当に何も…!!」
デュースの様子からもこの二人が何もないことはわかってる。
けど周囲からそう見えてることが苛立つ。
だから、名前の口から否定してほしかっただけだ。
ただ、安心したい。
名前はおれから離れねぇって。
「お前はおれのだろ」
おれの言葉に一瞬動作が止まる。
そんで、少し悲しそうな表情になったのを見逃さなかった。
「そう…だね…」
取り繕ったように笑うと、名前は、何かを諦めたような態度になった。
その様子はなんか変。
変だってわかってるのに。
おれの手は名前に伸びて、そのまま唇を合わせる。
そんでそのままベッドに押し倒した。
名前は抵抗を見せない。
おれの唇が名前の顔から首筋、鎖骨へとキスを繰り返し、手でシャツを捲る。
柔らかい胸のふくらみに触れても、一瞬ビクッと反応しただけで抵抗はしてこなかった。
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