黒曜編 | ナノ




それから一時間くらい経った頃。

並盛から少し離れたボロボロになっている建物にて雲雀は戦っていた。





「オラァァ!」



ドッ、ガシャーン


何故このようなところに人がいるのかは分からないが、みるみるうちに他校の男子生徒を倒していった。


そして雲雀はそのまま前へ進んでいくとーー…





「やあ」

「よく来ましたね」




一人の男子生徒が奥にあるソファーに座っていた。

顔は暗いためよく見えないがその男は雲雀の問いに答えた。




「ずいぶん探したよ。君がイタズラの首謀者?」

「クフフ、そんなところですかね。そして君の街の新しい秩序」

「ねぼけてるの?並盛に二つ秩序はいらない」

「まったく同感です。僕がなるから君はいらない」




その言葉に対し、雲雀はトンファーを構え出す。

そして…





「それは叶わないよ。



君はここで咬み殺す」





雲雀からは大きな殺気が放たれた。











一方応接室に残ったままだった杏は…




「あっ…!」



パリーン


ガラスが嫌な音を立てて飛び散る。

雲雀さんがよく使っているカップを落としてしまったのだ。


本当はすぐに並盛中央病院に行こうとしたのだけど、何故だか行く気になれなかった。
…と言うより応接室にいたかったのかもしれない。

雲雀さんがさっきまでいたこの応接室に。




「いけないいけない…雲雀さんに怒られちゃう…」



ちょっとだけ棚の整理だとかしていた時に勢いよく床に落ちて大きな音を立てたこのカップ。


気をつけながら落ちた破片を拾うけど、でもーー…




「雲雀、さん…」





また嫌な予感が胸に広がり出していた










「おっと、何故桜に弱いことを知っているのか?って顔ですね」



それから間もなく経つと、辺り一面桜の中、雲雀は血だらけになって男に髪を掴まれていた。

それは全て自分の血。


つまりかなりの劣勢…いや、もう勝敗はついてしまっているのかもしれない。


雲雀は悔しそうに敵を見上げていた。




「さて何故でしょう」



そう、この男は雲雀が桜が苦手だと言うことを知っていたのだ。

桜クラ病のため雲雀は桜を見ると動くことさえも困難だ。


その男そう言うとは掴んでいた雲雀の髪の毛を離す。
その反動で雲雀は地面に叩きつけられるような勢いでぶつかってしまった。

雲雀は無言で悔しそうにその男を見上げる。




「おや?もしかして桜さえなければと思ってますか?

それは勘違いですよ。君レベルの男は何人も見てきたし幾度も葬ってきた」




見上げられたその男の顔は……







「地獄のような場所でね」





昨日、杏と通り過ぎた際に笑っていて他の中学の制服…黒曜中の制服を着ていた

青髪の、赤と青のオッドアイの少年だったのだ。





「さあ続けましょう、と言いたいところですが…
君に聞きたいことがあります」


「………?」




雲雀は不機嫌ながらも不思議そうに男を見た。

そして男が言ったことは雲雀にとって耳を疑うものだった。





「柚木杏についてです」

「っ…!?」




なんと杏について聞いてきたのだ。




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