ツナに着いていき、家に着くとツナはビアンキに見つからないように2階へ上がった。
ツナが何をしたいのか私には分からない。 だけどとりあえず私も2階に上がることにした。
だが…
「あら、杏じゃない。」
ビアンキに見つかってしまった。
それだけなら良かったのだが、ビアンキにとんでもないことを頼まれてしまったのだ。
「杏、この料理食べてくれない? これは殺傷力もないから安心しなさい。」
「ええ!?」
え、何。
私がビアンキの料理を食べる…? それは間違いなく死ぬ!
「食べてくれないの?遠慮ならしなくていいのよ」
「うっ…」
そう言われて困ってしまう。 決して遠慮している訳ではない。
でもこの毒々しい…紫色でネチョネチョしてるこの物体は何だろう。 もはや食べ物じゃないよね?
あぁ…でもビアンキは自信満々だ。
えぇい!こうなったら…
「あら!##nameったら食べてくれたの…ね…」
ビアンキに負けた思い切って食べた私。 そして走り去るようにトイレへ駆け込む私。
「!¥$¢£%◎ごっごごぎげぇええ!!」
「な、なんか1階から杏の断末魔が聞こえる…!」
自分でも何という声を出しているんだ、と思ったがそれどころではない。
こ、これがビアンキの"殺傷力のない料理"なのだろうか。 だとしたらポイズンクッキングって…!
「ああああぁあ!」
考えてしまうと再び襲ってくる吐き気。 しかし何故か吐けない。
そのまま私は意識を手放してしまった。
「……?」
起き上がるとそこは自分の部屋。 そしてベッドにツナとリボーンと獄寺くんがいた。
「杏!大丈夫!?」
「ツナ…。私どうしてここに?」
「獄寺くんが運んでくれたんだよ。 勝手に部屋に入ってごめん!杏が嫌なら出てくから…」
「ううん!大丈夫! 獄寺くん、運んでくれてありがとう!」
獄寺くんが運んでくれたなんて(失礼だけど)本当に意外だ。 いつも喧嘩しかしないのに…何だかんだでやっぱり優しい。
「…お前は馬鹿か!!どこに好き好んでアネキの料理食う奴がいんだよ!」
「だ、だってビアンキ得意気に言ってくれたから味は美味しいのかなぁって…。」
そう、料理は見た目じゃなくて味。 それは私が一番理解してるはず。
だから見た目を我慢して食べたんだが、味も見た目同様なものだったのだ。
「んなわけあるか!見た目で判断しやがれ! ったく余計な心配かけんな…。」
「…え?」
今獄寺くん何て言った?
余計な心配…獄寺くんが!?
「獄寺くん心配してくれたの?」
「な…なわけねーだろ!お、お前聞き間違えたんじゃねーか?」
「そんなことないよー!獄寺くん、ありがとね」
「チッ……」
笑いながらそう言うと獄寺くんの頬は少し赤く、そして諦めたのか舌打ちだけして大人しくなった。
獄寺くんはお礼とか言われるのに慣れてないのかな? なんか可愛いかも。
「それにしてもビアンキの料理食べるなんてすごい勇気だね…」
ツナに言われ、苦笑する自分。 本当、まさか気絶するなんて思ってもみなかった。
しかし先ほどから気になることが一点。
「ははは…。 あ、そういえばビアンキの元彼の話はどうなったの?」
「あぁ、それは……」
ツナから聞いた話によると、ビアンキの元彼はランボくんの10年後とそっくりらしい。
だから10年バズーカを使って10年後ランボくんを呼び出してビアンキに攻撃を喰らっただとか…。
そしてビアンキは今リボーンが食べたがってるものを食べさせるためお出かけ中なのだ。
ビアンキはリボーンが好きなんだね!
今日この日に誓ったこと。
もうビアンキの料理は食べない。
「杏、ママンがスイカ買ってきたそうだぞ。」
「本当!?食べる食べる!」
「ったく…食い意地張りやがって。」
「まぁまぁ…獄寺くんも一緒に食べよう?」
「はい!10代目!」
「(スイカ〜!スイカ〜!)」
まだまだ夏は始まったばかりだ。
今年の夏は色んな波乱が起きそうだなぁ。
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