赤頭巾ちゃんパロ 2








先導家からレンの家は森を抜けなければならない。と言うのもレンの家が森の中だからだ。本人曰く「恥ずかしがり屋なので」と冗談を噛ましていた。
アイチは行き慣れた森の中に入ってゆく。実際オオカミ族も怖いがもっと怖いのはその辺りを牛耳る山賊の存在だ。


「おい、そこのアイチ! 山賊森川様に何か用か?」

「用は無いかな」


道のど真ん中に通らせないように腰を下ろしているのも森川という山賊だった。お菓子や強いカードを引ったくる悪い人だが、誰かが泣きはじめたりするとしおらしくなる人物だ。


「お、なんだよお菓子持ってるじゃんか! 寄越せよ!」

「ダメだよ!」

「そこまでにしておけ」


森川がアイチの持っている籠の中の美味しそうなお菓子の匂いを嗅ぎつけると森川はアイチから籠を引ったくろうとした。勿論、これはレンのお見舞いの品だから渡せる訳が無く困っているとオオカミの耳を生やした青年がそう仲裁した。


「お前は! くそ、アイチ覚えてろよー!」


その青年の姿を見た瞬間、森川は一目散に逃げ出した。その後にぼんやりとしているアイチに「大丈夫か」と声を掛けた。
アイチは首を縦に振り、青年をもう一度見た。オオカミの耳に尻尾を付けた青年は無表情でアイチの顔を見た。


「なんだ」

「えっと貴方が噂のオオカミの……」

「そうだ」




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