同じ空の下








自分は全国のチャンピオンになった、そんな気はあんまりしなかった。まだ夢を見ているような気もしたし、俄かに信じられない。
この前始めたばっかりなのにこんなに凄い大会に出られて、優勝だなんて。
なんとなくチャンピオンになったんだな、そう思ったのはカードキャピタルで握手を強請られた時とか、サインを頼まれたりとか、そういう一般人がされないことを頼まれた時だ。


「まだ実感なんてないよ、あのレンさんに勝ったのも夢みたいだ」

「紛れもない現実だ、レンに勝ったのも……優勝したのも」


ベンチの隣に座る櫂君は僕の話に耳を傾けてそう結論を出した。あんまりに正論だ。


「俺はお前と再会して、良かったと思っている」

「本当に?」

「お前にカードファイトを教えて良かったと」


それがどんな意味が含まれていても嬉しかった。櫂君が僕をやっと認めてくれたみたいですごい嬉しかった。


「そっか……」

「ああ」


桜が散って、公園に生える木々は緑に色付いていた。初めて出会った日も思えば若葉が萌える頃だった。




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