助っ人参上
更に階下を目指す。
シズクの意識は、あの後失うことは無くダガーが念のため白魔法をかけてくれたおかげか、先ほどよりも顔色は良い。
けど、目の色は戻ることは無かった。
自分で走れるだけの体力がまだ戻っていないのか、そのままオレは彼女をおぶったまま走っていくと、漸く広い場所に出る。
「ここを抜ければもうすぐよ!」
ダガーが道案内を買って出てくれたおかげで、地下にも迷わずに先に進めた。
けど……
ガシャン!
「しまった、ワナか!?」
いきなり道を鉄格子が塞ぎ、オレ達は慌てて戻ろうとしたが、その道も同じようにふさがれてしまった。
万事休すと悔しさから奥歯をかみしめると、高い位置から声が聞こえる。
「また引っかかったでおじゃる」
「何度見ても、いい眺めでごじゃる。」
「おまえたちっ、卑怯だぞ!!」
舌打ち交じりに言い返すが、現れた宮廷道化師はケラケラと笑っていた。
「これが我々のやり方でごじゃる」
「お前たちに口出しはさせないでおじゃる」
あざ笑うような声。
ビビの黒魔法もあの位置には届かない。
ダガーは病み上がりで、シズクなんて立つことさえまだままならない。
この状態であの二人を相手にできるか…?
オレはシズクをおぶる腕に力を込めて、道化師たちを睨みつけた。
――その瞬間だった。
「毎回、同じ手は通用しないッス!」
「ジタン、待たせたなっ!」
道化師たちを後ろから殴り、現れたのは懐かしい顔ぶれ。
いや、懐かしいなんてものじゃない。
あれは…、あの姿は……!
「ブランク……!」
「俺はおまえたちのピンチを聞き、全速力で魔の森から帰ってきたんだよ。」
ドヤ顔でカッコつけていってくるブランクにオレは思わず泣きそうになった。
ああ、もうこういう時に限って良いとこ持っていくよな、お前は。
顔がにやつくのを押さえられずオレは声を上げた。
「ブランク!! おまえってヤツは、なんていい奴なんだ!!」
「ガルカントステーションは、すぐそこッス、ジタンさん!!」
マーカスがワナの解除をしたのか、前をふさいでいた鉄格子が外れる。
「あの……、ブランク……。マーカス……。」
「礼なんか後でいいから、おまえたちは早く逃げろ!! 追手がくるぜ!」
「また借りができちまったな、ブランク!! さぁ、急ごう!」
ビビとダガーに声をかけて、オレは再び走り出した。
礼は後で…。
そう、今は話し込んでいる時間はない。
ガルカントステーションを見つけると、オレ達はそれに飛び乗りアレクサンドリアを後にした。