サイコな野郎




今日も朝からご飯を作って洗濯ものをして、大所帯の真撰組は一つ一つの事に物凄い時間がかかります。
ご飯だって100以上の男の人の分を作るんですよ?しかし朝稽古とかも合って皆さん朝が早い。
洗濯だって家庭用洗濯機じゃ間に合わないから業務用のバカでかいやつを使っている。
しかもそれが5台。
だから朝の時間と言うのは物凄い忙しいんです。

なのに・・・
なのに・・・
今日は珍しく山崎さんが監察でいないと思って良かった、と思っていたのに・・・


『何やってるんですかぁぁ!!沖田さァァァァァァァァん!!!!』


私の逆鱗に触れたのは一番隊隊長の沖田さん。
何故逆鱗に触れたか?
それは彼が嫌と言うほどデジカメで私を撮っているから。
なんだってそんな事してるんですか?!と問い正せば予想外な返答が返ってきた。


「これを現像して一枚1000円で山崎に売るんでさァ」

『はァ!?う、売る!?しかも馬鹿高いっ!!!』

「山崎の野郎はアンタに首ったけですからねィ、幾ら値段が高かろうが自分のいない間のあんたの写真ならポイポイ買う事は必須。良い金設けなんでさァ」

『うわァ〜・・・ι前から思ってたんですけど沖田さんってドSってゆーか、あくどいですよね』

「最高の褒め言葉ですねィ」

『褒めてないから』


ピシャリとそう言ってのけたんですけど、懲りていないのかまだまだ私の写真を撮りまくる沖田さん。
気になって気になって仕方ない。
けれども沖田さんがこんな事をしているのも全て山崎さんがストーカーをしているせい。
許すまじ、山崎退。


『ったく・・本当に沖田さんも山崎さんも困ったもんですよ』


ポロっと言ってしまった言葉。
その私の独り言を聞き逃さなかった沖田さんは何やらニヤリと笑うとある物を私に手渡してきました。
そしてそれを見ろ、と言うのです。
渡された物は日誌の様なもの。
よく見た事のあるそれは張り込みなどに出かけた山崎さんがその日その日の出来事を纏める物だった。
これが何か?と思ってページを捲った瞬間、私は顔面蒼白でそれを投げ捨ててしまいました。


『ぎゃァァァァァァァァァァァァ!!!!!??な、何これ!!???き、キショっ!!マジキショっ!!!!!』

「あ、アンタでもそう思うんですかィ?」

『思いますよ!!!なんですかコレ!!!!』

「山崎のストーカー日誌」

『は?!山崎さんの?・・・・けどコレ・・・』

「そう、あんたの事じゃねェでさァ」


意地悪そうに含み笑いをして投げ捨てた日誌を拾う沖田さん。
その日誌には恐ろしいほど「タマさんタマさんタマさんタマさんタマさん」と書き殴られていた。


『・・・え?どういう事?山崎さん・・他の人にもスカート・・してるんですか?』

「いや?これは昔のことでさァ。サイコな野郎だろィ?」

『え、あ、は、はい。めちゃくちゃサイコな内容でした。鳥肌めっちゃ立ってます』

「今はアンタに夢中ですがねィ、昔は万事屋の下に住んでるからくり家政婦にぞっこんだったんでィ」

『・・・・へ、へぇ』

「んで遠目から見てるだけのストーカになっちまったんだが・・山崎も一皮むけたんだろうね」

『え?』

「今あんたにストーカーしてやすが、遠目に見てるだけなんて真似はしてねーだろィ?超積極的じゃねーですかィ」

『・・・・一皮向けてもストーカーやってんじゃないですかιぶっ殺したくなるほど』

「それがチョー面白れー」

『沖田さんもぶっ殺しましょうか?』

「まぁまぁ、それほど山崎の野郎はアンタにぞっこんなんでさァ。あんたには困ったもんだ、って言う感じに映るかも知れねーですが。そろそろ素直になったらどうなんでィ」

『・・・・何が・・』

「別にィ〜?あ、そうそう、この前の着物、似合ってやしたぜィ」


そう言って最後にもう一枚だけ、と言ってパシャリと写真を撮って行った沖田さん。

ヤバい、ヤバいのではないか?
今の顔を撮られたのはヤバいんじゃないか?
私今顔赤くなかった?!
何か誤解させるような顔していなかったか?

けれどももう遅い。
私はパンパンと頬を叩くと残りの洗濯物へと没頭した。


『・・・・けど・・そっか・・・他にもストーカーしてた人がいるんだ・・・』


もやっと心の中に雲が立ち込める。
今日も山崎さんは仕事でいない。
何処へ監察に行ったのかも知らない。


『・・・万事屋の下の・・からくり家政婦さん・・・』


洗濯ものの皺を伸ばしながら、そう呟いた声をまだ物陰に潜んでいた沖田さんだけが愉快そうに聞いていた事なんか、私は全くもって知らなかった。





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