「全員配置についたか?」
「はい!」
土方の声に山崎が無線機に耳を傾けながら返事をした
此処は寺院の裏手
そろそろ9時と言う事で突入準備が始まっていた
土方は暗がりの中、煙草を咥えるとふーっと紫煙を夜空に吐きだした
彼の隣には同じように煙草を吸っている摩由の姿
配置の書かれた紙を眺めながら、少し面白くなさそうにしていた
「そろそろ突入時間だ」
土方の声に摩由が煙草をもみ消した
『本当に私は参加しないで良いんだな?』
「・・・・・あぁ」
摩由に顔を向けるでもなく、素っ気なくそう言うと土方も煙草を消した
そして先発部隊の方へと歩いていく
「摩由さん、それじゃ俺もいきますね」
そう言って軽く頭を下げると山崎も土方の後を追っかけて行った
寺院の裏手に止められたパトカーに戻りながら、摩由は少し眉を潜めていた
気にかけるのはクビにしろと言った人間たちが参加している事
あの馬鹿どもめ・・・・
パトカーの前まで来た時、寺院の方から悲鳴が聞こえてきた
どうやら始まったようだ
摩由は近くにあった小石を思い切り蹴飛ばしながら最後の一本だった煙草に火を付けた
『・・・私が動く訳には・・・いかない・・』
ギリっと唇を噛みしめながら聞こえてくる声に耳を傾ける
悲鳴や怒号、刀音、爆破音などが聞こえてくる
摩由は軽く舌打をすると吸いかけの煙草を足でぐしゃっともみ消し、声のする方へ駆け出して行った
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