キィィィィン、と言う金属音が道場内に響き渡る
沖田が一斉に斬りかかってくる隊士たちを薙ぎ払いながら間合いを取っていく
その姿を一番隊以外の隊士らは固唾をのんで見守った
摩由が開始、と伝えてから数分経っただろうか、未だ誰一人として血を流す物はいなかった
それに摩由が目を細める
隣で顎に刀を当てられていた土方のみがその彼女の雰囲気が変わったのに気が付いた


・・・・なんだ?


土方が一番隊の斬り合いから目線を逸らし、摩由の方へと視線を向けると、とてもつまらなそうに口をへの字に曲げている彼女の姿
まるでプレゼントの中身が期待外れだった子供の様な、あからさまなその態度に土方は嫌な予感が胸によぎった

そしてそれは顎に添えられた刀が外れたことで当たってしまった

摩由は刀をしまうと一歩、一番隊に向かって足を踏み出したのだ

「あ、」と思った時にはすでに時遅く、無数の刃が光る中、彼女は傷一つおうことなく中枢にいる沖田の所まで一瞬で駆け寄った
そして刀を構える沖田の目の前に立つと『ヌルイ』と一言洩らし重心を左足にずらした

刹那

ドコォン!!!と言う地響きと共に沖田が吹っ飛んで行き道場の壁に埋もれた


「がはっ!!」


口から胃液を吐きながら崩れ落ちる沖田
その行動に道場内が騒然とした


『沖田、私の言った言葉を理解していなかったのか?』


一番隊隊士の中央で摩由が吹っ飛んで行った沖田に声をかける
それに沖田は鳩尾を抑えながら苦しそうに顔を上げた



『私は殺し合いをしろと言ったんだ、誰がチャンバラごっこをしろといった?』



凛とした声に刀を構えていた一番隊隊士らがカタカタと震えだした
それは持っていた刀を通してカチカチと音をたてた



『これより一番隊隊長沖田総悟に代わり、私が相手をする。アイツの様に手を抜くつもりはない、本気で掛かってこないと・・・・』



ぐるりと辺りを見回しそう言うと摩由はザッと体勢を整えた



『即死だぞ』


マジだ。
それが分かる。
隊士らは震えていた体に一喝すると今度はしっかりと刀を構えなおした
そして全員で一斉に斬りかかった








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