中原中也

「名前
…ちょっといいか」

と、名前を呼び出して、
俺が告白したのが今朝のことである。
名前も俺もポートマフィアに籍を置いている。
俺は幹部だが、名前は芥川ぐらいの立場だ。
異能力は無いが、何事も一生懸命やるタイプで基本的に誰からも好かれ、
なんとあの芥川とも怖気ずに会話出来るので皆からも一目置かれている存在である。
気品というより可愛らしさが勝つ…という俺の好みとはどちらかというと逆であるのだが…
気がつくと好きになっていた。
…という理由では駄目なのだろうか?
…正直、今までで一番緊張した。
嫌われている…ことはないだろうが、
「異性として」好かれているかどうかなど意外に分からないものだ。
…名前の返事は「私も好き…です」
というごく普通の返し方だったが
まぁ顔を真っ赤にした名前は可愛かったから文句はねぇ。
…それに安堵した俺は仕事も進み、
今は夕方だ。
名前と帰ることにしたので此処で待っているというわけである。
そういえば、恋人でなくてもこうやって一緒に帰ることは珍しくなかった気がする。
…恋人になって何か変わることは…
いや、あるに決まっているだろう。
今考えればあいつとの付き合いは結構長い。あの糞太宰がいた頃もちゃんと俺の記憶には名前がいる。
ふざけて抱き合ったこともあった…ような。…今更することなんてあるのだろうか…
といった事を考えていると、
「中也さん…!」
という声が聞こえた。
「おぉ名前、随分遅かったな」
すみません、と一言いい、俺と並んで歩き出す名前。
歩いている途中で名前が言っていた事だが、どうも自身の仕事に手間取っていた訳ではなく、芥川の仕事を手伝っていたらしい。
…芥川は機械系に弱いからなぁ…
「そういうのは樋口に押しつけろよ」
え?といつも通りの名前。
くそ、意識してるのは俺だけってか?
「だ、だから…他のやつに構うなって言ってんだよ…!」
名前は目をぱちぱちした後、
ふっと微笑み「分かりました」と言って俺にくっついてきた。
…っ 可愛いやつめ。
そういえば、と名前が唐突に切り出す。
「どうした?」
「今日って9月14日なんですね」
「…?そうだな。」
もしかして俺達が付き合った日とかそういうことか?
「そうです。知ってますか?
今日付き合ったら100日後にはクリスマスで、5ヶ月後にはバレンタイン、半年後にはホワイトデーなんですよ」
「…そうなのか。言われてみれば確かに…」
「まぁいつ中也さんに告白しようか私も迷ってたから…
本当に今気づきました
だから、という訳でもないですけど…
クリスマスも、バレンタインも中也さんの誕生日も、…
今年も来年もその次もずっと一緒に過ごさせて下さい」
と上目遣いで言いやがる。
…っ可愛いこと言うんじゃねぇ
そんなの決まって____
と、俺はハッと気が付く。
…そうか。
やっぱり恋人になる前と後じゃ全然違う。
俺もお前とずっと一緒にいたい。
前もそう思っていたが口に出すことはなかった。
…でも今なら言える。
お前も同じ気持ちだと思うと尚更、
気持ちが強くなっていくのが分かる。
100日目にも、1年後にも、もっというと来世にも。

お前とずっと一緒に居させてくれ。
…いや、もしお前が嫌がったとしても。…絶対離さねぇよ


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