芥川龍之介

何故僕は強くなれないのだろう。

その質問を名前にしてみた所…

「ど、どうしたの?いきなり」

「僕は強くなりたい。そのための努力もしている…つもりだ」

「…うーん…芥川は強いと思うけど…」

「それは名前が優しいからそう思うだけだ
…どうすれば良いのだろうか…」

いかん、目眩がしてきた…

「!?大丈夫? 頭痛い?」

「…大丈夫だ…
兎に角、僕は朝2時までしているというのに一向に成果が表れない。
…まだ精進が必要だということだろうか…」

「ちょ、ちょっと待って…
今なんて言った?」

「…だからまだ努力が…」

「そ、その前だよ!2時って深夜の?」

「…?そうだ。そして5時には起きてまた訓練だ」

「ちゃんと寝ないと駄目だよ!」

「そんなこと言っていられんだろう」

「…分かった、さっきふらっとしてた理由」

「…?」

「芥川、私は貴方のこと充分強いと思うけど それで芥川が納得出来ないなら
私からアドバイスが一つあります」

「な、なんだ!?」

「ちゃんと寝てください!せめて12時には!更に言うなら朝ごはんも食べて!」

「…は…?お前は何を」

「芥川は書類系の仕事はないでしょ?
なら出来るはず!」


そして夜である。

僕は名前の言ったことを思い出していた。

本当は羅生門の訓練をしたいのだが…

大体、早く寝ることになんの意味があるというのだ?

というより、何故そもそも僕は名前の言うことを従順に守っているのか…?

そんなに訓練がしたいのなら他人の指図に従うことなくすれば良いものを…

確かに強くなる方法を聞いて、強くなれば名前を守ることができる、が…

…?何故名前なのだろうか?

それに名前を守れる人ぐらい他にも…

僕はその役を他の人間に譲りたくない…のか?

何故そんな感情が出てくる…?

このような気持ちを、昔体験した。

…以前「親睦会」と称した催しで「太宰さんの印象は?」という問の答えを言わされたことがある。
その時名前も答えていたのだが…
その答えが
「頼りになってかっこいい…かな」
であったのを聞き、初めて太宰さんにモヤモヤとした気持ちが生まれたが…

この気持ちが「恋」などという訳が無い。
だが尚更今の回想で名前への気持ちが分からなくなった。

…駄目だな、何もしていないとロクな事を考えない。

やはりここは羅生門を…

コンコン

「…? 誰…ですか」

「私です。名前。
良かったー、ちゃんと部屋にいるね
入ってもいいですか?」

「あぁ…」

まさか名前が来るとは…
ちゃんと部屋にいて良かった。

「もしかしたら練習してるかもーって思ったんだけど 芥川は約束破ったりしないよね、ごめんね」

「…勿論…だ…」

「よし、じゃあ寝る?」

「寝る…だと?まだ10時だ」

「することないなら寝たほうがいいよ?」

おのれ、僕の事を無趣味だと罵るか

…まぁその通りだが…

「ほら、ベットに入って」

半ば無理やり入れられる。

…全然眠くないのだが…

「目をつぶってたらそのうち寝れるよ

ほら私も寝るから」

「…? なんだと?」

「私も寝るよー芥川もしかしたら抜け出すかもしれないし」

此奴は何を言っているのだ…

僕がそう考えている間にも、のそのそと入ってくる。

「ま、待て名前、その…色々とまずいだろう」

「どうしたの?」

「だからだな、こんな風に…」

「なんか眠くなってきた…
芥川の匂いって安心する…」

「…っ おい…っ」

すやすや、ともう寝息をたてている。

もう知るか、何が起ころうと僕は何も悪くない。
隣で寝息を立てる名前を横目で見つつ、どうしたものかと考える。

「ん…ぁくたがわ…っ」

「!?…っ」

なんだ、今の気持ちは。

と同時に腰に違和感を感じた。

名前が腕を回してきた…!

「あく、たがわ…ぅ…っ」

「…あぁ…もう…っ」

同じように名前の腰に手を回し、抱きしめる。

「名前…っ」

お前が太宰さんに笑いかけていた時。

お前が中原さんと話していた時。

…お前が僕以外の誰かと楽しそうにしていた時。

今の気持ちは、…今のこの苦しい気持ちはそれに似ている。

…しかし今はそれに愛おしさが混ざっている。

…僕は…

「…名前、僕は…

お前が好きだ…っ」

そうだ、僕は名前が好きだったのだ。

この気持ちが恋でない訳が無い。

僕は此奴が目覚めた時、今の気持ちを伝える。

伝えて、みせる。


(名前好きだ…)
(…ぅん…?わたしもだよー)
(!!?///お、起きて…)
(…zzz)
(…)
その後2人が両思いになれたかはまたべつのお話…

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