寿也、悲しいかな童貞
2016/02/08 00:48
「「あ」」
はたり、と。キャンパス内で会った。秀人と、その彼女。初めて会う彼女はとても綺麗な人だった。それに...。
「や、そのこれは、違くて...」
「わー!本物の竜ヶ崎奏様だ!かっこいいっ!」
焦る秀人と奏を見て興奮する彼女。奏はもちろんこの大学では知らぬ者がいないであろう程の有名人。そんな奏はというと値踏みするかのように彼女を見る。
「笹野ユカリです、初めまして!」
テンションが高めな彼女。
「こんにちは」
「は、はじめまして...」
サラっと挨拶する奏と対照的に、俺は緊張している。
しかし、今日はゆっくり話している時間はない。奏はこれから仕事に行かなければならないのだ。奏は今、なんとなんとあのロゼの東京支社で働いている。しかも役員として。雫ちゃんからは大学行かずに支社を任せたいと言われたらしいが、大学に行きながら働く事にしたのだそうだ。
「俺たち急ぐから失礼するね」
行くよ寿也、と言われて先を歩き出した奏を追う。ぺこりと彼女に頭を下げてから。
「...寿也さあ」
「ん?」
二人きりにると、奏はポツリともらした。
「ちょっと恥ずかしそうにしながらもチラチラあの女の胸見てるのがザ・童貞って感じだよね」
「!」
バレてる...!胸見てるのがバレてる....!だって大っきかったんだもん。そんなに童貞感出ちゃってたのかな...。やばい不安。
「寿也は終身名誉童貞だね」
「むぅ!かなが抱かせてくれれば解決出来るじゃんか!」
「童貞に貸すケツなんか持ち合わせてないんだ。ごめんね?」
ちょーむかつく!
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