雪弥、合格祝いをもらう
2016/02/06 22:44

大学も決まり、高校を卒業した春休み。しばらくの間実家で生活していた。春からの大学生活は征と二人暮らしの予定だ。まああまり高校の寮と生活は変わらないのだろうけど。そして何よりも。奴とは同じ大学ではあるけれど、学部は違うし住む場所も離れる予定だ。奴のお付きからやっと解放される。しかし奴は今更また大学に通う必要はあるのだろうか。

「こんにちは、雪弥」
「じいちゃん」

リビングで寝転がってゲームをしていると、じいちゃんが家にやってきた。仕事で忙しいだろうに、どうしたんだ。

「どうしたの?」
「雪弥が大学に合格したって聞いてな。しかも私と同じ大学というじゃないか。霧乃も雪弥も優秀で私は鼻が高いよ。合格おめでとう」
「ありがと」

じいちゃんはニコニコと機嫌がよさそうに俺の頭を撫でた。じいちゃんに褒められて少し誇らしい気持ちになるのは昔からである。

「今日は自慢の孫である雪弥に合格祝いを持って来たのだが」
「え?マジ?」

基本的に俺に大甘なじいちゃんだけど、忙しい人だから祝い事や何やらでも直接持ってくることなどあまりない。俺がじいちゃんと同じ大学に行くってのがそんなに嬉しかったのかな。

「これだ」

じいちゃんが取り出したのは一枚のパンフレット、とその中に挟まった紙。

「………どこ情報なの、これ」

そのパンフレットは大学の近くの超高級マンションのパンフレット。その中には契約済の契約書。普通じゃ考えられない規模の大学祝いだ。しかし、しかし。そのマンションに問題がある。このマンションは奏がこの春から姫と一緒に住むらしい場所だ。姫が嬉しそうに話してたから間違いない。

「彼のこと、頼むぞ。今まで通りパーティーや行事には連れて来てくれよ、雪弥」

どこで奏の住むマンションの情報なんて手に入れたんだこの地獄耳爺。ご丁寧に部屋まで隣だし。ああ、これからも俺の奏のお付き役は解放されないのか。ここで嫌だなんだとごねてみたところで、高校入学時と同じように丸め込まれるだけだしなあ。
まあいい。それならそれで高校の寮と同じように姫に俺の家を掃除させてやる。飯も作らせよう。

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