虹を駆ける(Twitterでは虹へと表記してました)
悲しみに暮れる毎日の中で、今にも倒れ込み泣き出してしまいそうな体をギリギリで支えて生きている。
死を意識するぼんやりとした思考の隅に美しさを見つけた私のこの胸の高鳴りは、一体いつ以来だろう。
今にも消え入りそうなほどの儚さを持っていて、でも世界のどんなものよりも美しく空高くあるそれに、いつの間に涙が溢れてしまったのか…。
「届かないの…?」
つま先立ちになるほど背伸びし両手を伸ばそうと、どれほどの涙を流そうと、心を締め付けるほどの痛みを味わおうと、それは私のそばには来てくれない。
悔しさをかみ締めながら言葉を発していく。
「こんなにも近いのに、悲しいほどに遠い…。」
背伸びを諦め伸ばした手をダラりと下ろすも、この涙が止まることはない。
この止まらぬ涙は何に向けて?
生きていく悲しみか、それともこの美しさに心を打たれてか。
どちらともわからぬこの感情はどこへ吐き出せば良いのだろう。
ふとポタリと一滴の涙が地面へと零れ落ちたのがわかった。
その瞬間に強引に現実へと引き戻されるような寒気に似た感覚。
「だめ…っ!!」
少しずつ輝きが失われ、その景色に染み込むように空に架かる橋は消えていく。
「行かないで…!!私も…、私も連れていってよ…!」
手を伸ばしても声を荒らげてみたって、もうそれが戻ってくることは無いのだ。
枯れることなく流れ続ける涙を拭うこともせず、ただただ叫ぶように泣き続けた。
そうする事でしか私は…、この気持ちを向ける場所を知らないから。