この狂った愛を君に


ー狂ってる。



そう君は言った。



なにを言ってるんだろう。



狂ってるって、そんなの、君に望んだこと、君にしたこと、それは至極当然のことで。



好き同士であるなら当たり前のことだと思う。



『友達と遊びに行きたいな。』



『なんで?俺がいるじゃん。』



そういうと君はため息をついた。



なんで?



俺がいるのに。



俺と友達とを天秤にかけたって、結果はわかりきっているじゃないか。



例えば君に、俺以外の連絡先を消すことを望んだって。



男がいる場所への外出を禁止したって。



病院や美容室などは女じゃなきゃダメだとか。



それは当たり前じゃないのか?



『君を信じていないわけじゃないけど…。部屋にカメラ仕掛けさせてもらってたんだ。』



『…え?』



『宅配便来てたよね?配達員、男だったね。』



『待って、宅配便だよ?注文した物持ってきただけだよ?』



『なんで俺以外の男と話してるの?』



『だから、あれは!』



『なんで俺以外の男に笑いかけてるの?』



ーなんで?



ーなんで?



ー俺には理解できないよ。



君は怯えた顔をしていたけど、でもおかしな事は何一つ言っていない。



約束したんだ。



そしてそれを破ったのは君だ。



悪いのは君なんだ。



『俺が良いと言うまで、外出禁止。』



『ちょっと待って、話しを聞いて!』



『仕事も辞めてもらうよ。だって男がいるもんね。』



『…嘘でしょ?』



『俺は嘘なんてつかないよ。嘘つきは、君だ。』



涙を流す君は、綺麗だ。



笑っている顔も、怒っている顔も、恥ずかしそうにする顔も。



どんな顔も。



全部。



全部全部全部。



全部が俺のものなんだ。



『携帯も解約しないとね。いつどこで男が君に関わろうとするかわからない。』



誰にも見せたくない。



触れられたくない。



君という存在を、俺以外に感じて欲しくないんだ。



『ご両親と友達には俺から連絡しておくよ。もう君には関わらないでくれって。』



『も……、やめて……。』



『ダメ。約束破ったから。』



約束はね、守るためにあるんだよ。



俺がいないから良いって、そんなの許される事じゃない。



『あぁテレビもダメだ。俺以外の男に視線をやっちゃいけない。歌も、ラジオも、雑誌もダメ。』



『聞きたくない…。』



耳を塞ぎ、床に座り込む君。



あぁ…。



そんな姿でさえも愛おしい。



大好きだ。



愛してるんだ。




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