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時計を見ると約束の時間まで後15分。
公園までは2分もあれば大丈夫だけど、少し急いで準備をする。
卓上の鏡を用意すると髪を整え身だしなみも整えると、立ち上がりテレビを消してスマホと財布をポケットに入れ、少し小走りで家を出た。
外は相変わらずの晴天に日差し。
この炎天下の中、本当に公園でよかったのだろうかと少し後悔してしまった…。
途中自動販売機で自分と空の分のお茶を買い、公園へ向かった。
公園の外からではわからなかったけど、中に入るとすでに空の姿がある。
急いで空まで駆け寄った。
『ごめん、暑いのに待たせたかな?』
流れた汗を持ってきていたタオルで拭きながら問いかける。
ベンチに腰掛けている空はこちらに顔を向けると、穏やかに笑いながら否定するように小さく手を振った。
『ううん、大丈夫。来る前に練習しておきたくて少し早めに来てたの。』
『練習?』
首をかしげながらそう聞くと、空は自分の鞄から一枚の紙を取り出しこちらへそれを差し出した。
『あのね、新しく歌を作ったの。それを聴いてほしくって…。』
そう言いながら少し照れくさそうな顔をしている空。
差し出された紙を受け取とると、どうやら歌の歌詞のようだ。
『夢の中で会えた人…。』
一番上に書かれた曲名らしいそれを読み上げると、照れくささを誤魔化すためなのか、さっそく歌ってみると言い、そばにあったベンチへ座るように促した。