同居始めました | ナノ






私は昔から絵を描くのが得意だった。
描くのが好きで、毎日描いていた。

小さい頃はお母親に褒められて嬉しかったし、私の絵で笑顔になってくれる人がいるんだと



とても嬉しかった。




私は母親とずっと一緒に住んでいたが、
母親が再婚した為、元々二人で暮らしていた大きなマンションの結構広い部屋を一人で過ごしている。
再婚した母には幸せになって欲しいから、と話し合った結果、別居という事になった。


でもまぁ、
どちらかというと、裕福な方なので

何不自由なく暮らしている。



それに私は好きな事をやらせて貰っている。
好きで描いていた漫画が、幸運にも雑誌に掲載されるまでになった。


毎日毎日、学校に通いながらも漫画を書き続けていた。






一人でも結構、有意義に暮らしていた。
広いリビングも、大きなソファも
ぜーんぶ、私一人で使っている。

と言っても、ほとんど漫画を描いているので作業部屋に篭っているのだけど。

でもそんな生活も好きだった。
寂しいとは思わなかった。











そんな生活も、


突然、崩れていった。



それは母親からの電話だった。

「親戚に不幸があって、身寄りのない子が一人いるんだけど、葵のマンションに入れてあげてくれない?」

「え?」


親を亡くした子供と、
一緒に暮らせと言ってきた。


どうやら年が近いらしい。
……と言われても、はいそうですか。
とは簡単に言えない。


見知らぬ子供と暮らせる程、
私は出来た人間じゃない。

どちらかといえば子どもは好きだが、
世話が出来るかと言われれば

あまり自信はない。
どうして母は私にお願いしてきたのか?





「元々親戚が少なくて引き取り手がないみたいなのよ、まだ学生だし……葵の所は部屋が余ってるでしょ?近々、荷物送るからよろしくお願いね」

「え、ちょ、もう決まってる事なの?」


私に拒否権など

最初から無かった。



有意義に過ごしていた一人暮らしは
跡形もなく砕け散った。

家では漫画ばかり描いている私が
他人と打ち解けられると思いますか?
いや、学校ではちゃんと友人はいるけど

家では基本、机に向かっている。





「……私にどうしろと」

携帯をベッドに放り投げて、腰を下ろした。


一体どんな子が来るのか、
一体どんな性格の子が来るのか

身寄りのない子、
そんな子になんと声をかけたらいいのか



不安でいっぱいだった。




「あ……可愛い女の子だったらいいな」

一緒に暮らす子の年が近いなら、
私が描いている漫画のモデルにしようかな…

なんて、そんな事考えていた。




「(金髪で、色白で、あぁ猫耳とかいいな…あと、小柄で可愛い女の子。私の事をお姉ちゃんって呼んでくれるような女の子がいい)」


そんな子が来たら最高じゃないか。
ついでに料理がうまい子がいいな、

時間を忘れて漫画を描いていて、
御飯をよく食べ忘れる。
だから作ってくれる子がいいなぁ。




「(あ、むしろメイドさん欲しい)」

妹系もいいけど、
メイドさんも捨てがたいなぁ……と

ポケットに入っているメモ帳に
次の漫画のネタになりそうな事を書き込んでいく



「(次の漫画はアドベンチャー物もいいな)」

大きなベッドに横になりながら、
思いついた事を書いていった。








(貴方は今どこにいますか?)


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