これの後の話です

「ねえ、来月は桜を見に行かない?」
 じゃあ俺京阪だから、って改札に向かおうとした背中に、そう言う。びっくりした顔で振り返ったセナの「……は?」は、声というよりも息に近い音をしていた。
「ほら、河津桜はもう散り際だったけど、他の……ソメイヨシノとか、ほとんどの桜はこれからでしょう? 時間があれば見にいこうよ」
「……いい、けど」
 困惑した様子で、セナが頷く。会うのはまだ二回目だけれどわかったことがあって、こうやって僕の言うことをセナが受け入れてくれることが、僕はなんだか、すごくうれしいらしい。
「それじゃあまた連絡するね」
「ん。……じゃあ」
「うん、今日はありがとう。おやすみ」
 今度こそ改札を通っていった背中を見送る。下りエスカレーターに乗る直前、こっちを見たから、小さく手を振ってこたえる。遠目でよくわからないけど、たぶん、わらったようにみえた。かわいいなあっておもって、僕も地下鉄の改札へ向かう。ライン、なんて送ろうかな。



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