浴衣 1/2
「うなじってさ、エロいよねぇ」
私の片割れはいきなりなにを言い出すのだろうか。
しかも、双子の妹である私に向かって。
「いきなりなに言ってるの?」
「いや、だから浴衣の襟から見えるうなじってエロいなぁって。髪をアップにしてるこの後れ毛とかさぁ」
訳わからないと言うと、わかってないなぁと言われた。
別にいいし。気にしないことにしよう。
どうしてこうなったかと言うと、今日は花火大会だから。
ちょっと早めの花火大会。私は毎年臨也と来ている。
「ねぇ臨也。毎年私と来てるけど彼女とかつくらないの?」
「俺は特定の子はつくらないの。だって面倒なだけでしょ?
そういう莉緒だって、クラスの一番人気の中村君に誘われたのに断ったんでしょう?」
「知ってたんだ、誘われたこと。」
「俺の情報網を甘くみないでほしいね。
なんで断ったの?」
「別に興味無かったし…臨也と行った方が楽しいしね。」
私がそう答えると、彼は満足そうに笑った。
花火まではあと一時間。
それまで屋台を見て回ることにした。
綿あめにたこ焼き、りんご飴。
浴衣の私は帯が締められているから、少し食べたらすぐに満腹になった。
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