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目が覚め時計を見ると、針は午前6時をさしていた。
早く起きすぎたかなと思ったものの二度寝する気にはなれず、顔を洗うため洗面所に向かう

洗面台の鏡に映った私は、元の世界にいた頃より痩せたように見えた。


寝ていた間に臨也からメールが届いていて、バイトへ行くのは午後からでいいという内容だった。


早起きもしたし、だいぶ時間がある。どうせ暇だし、池袋の街を散策してみることにした。

ドアを開けると差し込んできた日差しがまぶしい。

行く宛もなく歩く池袋の街並みは、私にとってまだまだ新鮮で知らないことが溢れている世界。


しばらく歩くと正臣達と会った公園に行き着いた。昨日と同じベンチに腰掛け、バイトってどんなのかなーなんて考える。
すると不意に「おい。」と声をかけられた。
振り返るとそこには金髪バーテン服の


「し、シズちゃん…」

「その呼び方…ノミ蟲野郎を思い出すんだよ…」

「あ、ごめんなさい、静雄さん…で良いですか?」


今にも怒り出しそうだった静雄を前に慌てて訂正。冷や汗をかいた。
呼び方を訂正したことで静雄の怒りは収まったみたいだった。
とりあえず一安心。


「お前、この間ノミ蟲野郎と一緒に居たよな? アイツはろくなこと考えてねぇからなるべく関わんない方が良い。」

「はい、わざわざありがとうございます。」

もう充分に関わってしまってるとは口が裂けても言えない。


「あの時怖い思いさせちまったし、その詫びっていっちゃあ何だか。まあそう言うことだ。
じゃあ、気をつけろよ。」


そう言うと静雄は公園から出て行った。おそらく仕事へ戻るのであろう。

「ありがとうございました」と言うと、静雄は振り向かずに手を振った。


臨也に関わるな、ただそれだけを伝えるためにわざわざ来てくれたなんて、
静雄は優しい人なんだなと感動していると、バイトに行かなければならない時間が迫ってる事に気づいた。

準備をするためにマンションに戻らなければならない。
私は朝よりも少し明るくなった気持ちで公園を出た。

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