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マンションへはものの5分で着いてしまった。
こんなに近くにあるのに何故たどり着けなかったが不思議でならない。

マンションの指定された部屋まで行くと、ドアの前には臨也の姿。

「随分遅かったねぇ。そんなに距離は無いんだけどなあ。」

臨也のことだから私が迷ったこともお見通しなのだろう。

「ちょっと寄り道してきただけですよ。それより此処は?」

「ああ、今日から此処が君の家ね。」

ドアを開けた先は白で統一されたシンプルな部屋だった。
家具なんかも全部揃ってる。


「あと戸籍なんかもちゃんと用意したから。
家賃なんかも気にしなくて良いからね。」

「ありがとうございます、凄く助かります。」


一応お礼をいったものの、いやな予感しかしないのは気のせいだろうか…


「後はお金だよねぇ。此処の家賃と光熱費は大丈夫だけど、生活費とか自由に使えるお金も必要だよね?」

「はい、でも臨也さんが戸籍も用意してくれたから、明日にでもバイト探しに…」

「その必要は無いよ。俺がバイトもちゃんと見つけてきたから。」


臨也は爽やかな笑顔でそう言った。
バイトまで見つけてきたとは、何を考えてるのかさっぱり分からない。
そして嫌な予感しかしない。


「これバイト先の住所ね。
明日からってことになってるから、タクシーでも使って行きなよ。また迷ったら困るからね。」

「わかりました。なにから何まですみません。ありがとうございます。」

「気にしなくて良いよ。明日からは忙しくなるだろうし、今日はゆっくり休んで。」


じゃあね、と手を振って臨也は帰って行った。

一人ぼっちになった部屋は広く感じる。

今日はもう休もう。
明日からの生活に不安を抱きながらも眠りについた。

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