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迷子なう。
臨也と別れて再び一人になってからすぐにメールが届いた。
送ってきた相手は臨也。
メールにはとある住所とマンションと思われるビルの画像。
ここに行けということなのだろう。
だけど何処ですか!当然と言えば当然だけど、ここには最近来たばかりであって、道なんか全くと言っていいほど分からない。
かれこれ一時間歩き回ってみたけれど全く辿り着ける気がしない。
公園のベンチに腰掛け、どうしようかと考える。案の定いい案は見つからないのだけど。
「ねぇねぇ、そこのお嬢さん!誰かと待ち合わせ中?
そんな難しい顔してないで、俺とお茶でもしようじゃないか!」
「ちょ、紀田くん!いきなりなにしてるの!?」
そこには茶色い髪の少年と真面目そうな少年───紀田正臣と竜ヶ峰帝人がいた。
「なにって、ナンパに決まってるだろ?ナ・ン・パ!」
「ナンパって、そんな女の子の前で言っちゃダメでしょう…」
池袋に来たばかりの帝人を案内でもしていたのだろう。
あ、もしかして正臣ならマンション(?)の場所分かるんじゃない?
「あの、ちょっと道に迷っちゃったんだけど…ここ分かりますか?」
そう尋ね、メールを見せるとすぐに正臣が
「ああ、此処なら分かるよ。送っていこうか?」
流石、正臣!聞いて良かった。送ってもらうのはお断りした。
正臣と臨也が鉢合わせしたら面倒なことになりかねない。
正臣は道を丁寧に説明してくれた。これならなんとか行けそうだ。
ありがとうと言うと笑顔で気をつけていってらっしゃい、
と声をかけてくれた。
沈んでいた気持ちも少し晴れた気がする。
私は再び池袋の街を歩き出した。
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