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セットしていたアラームがなり、目が覚めた。昨日なかなか寝付けなかったせいでまだ眠い目を擦りながら起きる。
臨也はまだ起きていないようで部屋は静まりかえっている。遅くまで仕事をしていたようなので、まだ起きそうに無いだろう。
一応、臨也の分の朝ご飯を作り、家を出た。
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放課後はあっという間にきて、帰りのHRが終わると同時に正臣が教室にきた。
「さあさあ!早速行こうじゃないか!時間が勿体ないぜ!」
ハイテンションな正臣に自然と笑みがこぼれる。
「今日は楽しみましょうね、莉緒さん。」
「あ、なんか行きたいところとかあったら遠慮なく言ってね。高瀬さん。」
三人とも、凄く良い人たちだ。この人たちのことなら信じてもいいのかな…
「三人とも、ありがとう。凄く楽しみ。」
そう言うと三人とも微笑んでくれた。その微笑みに暖かさを感じながら、私たちは池袋の街へと歩き出した。
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三人はいろんな所へ連れて行ってくれた。ゲームセンターでは四人でプリクラをとった。プリクラをとったのなんて、いつぶりだろうか…
少し休憩しようということになり、帝人と杏里がジュースを買いに行ってくれた。
今は正臣と二人きり。
「どう?楽しめてる?」
「うん、凄く楽しい。こんな風に遊ぶのなんて久しぶり。」
「それはよかった。今日のことは、帝人と杏里が莉緒を楽しませたいって考えたんだよ。
まだ出会って間もないけど、二人ともすごく大切に思ってるんだと思うぜ、莉緒のこと。」
もちろん俺も大切に思ってるぜ。そう、ニコっと笑う正臣につられて、私も笑みがこぼれる。
正臣の笑顔は魔法のように、つられて笑みがでてしまう。
幸せだな、そう思った。
思った。なのに、なのに、
一つの影が、幸せから私を引きずり出した
一番会いたくない人、
一番思い出したくない人、
血の気が引いていくのが分かる。
「莉緒?どうかした?…顔色が悪いぞ?」
正臣が顔を覗き込んで、心配してくれるが、その言葉に答える余裕すらない。
だんだん呼吸ができなくなる、
逃げなきゃ、早く離れたい、早く早く
「正臣、私、用事思い出した…っ」
そう言うが早いか、私は走り出した。
正臣が叫んでいるけど耳に入らない。
この場から離れるために、
あの人から離れるために、
無我夢中で走った。────
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