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あのときの俺はまだ若かった。いや、幼かったのかも知れない。
─────数年前 来神高校
「臨也、こんな所でなにしてるの?」
「なにって、見たら分かるでしょう?昼寝だよ、昼寝。」
「昼寝って、授業中だよ?サボっちゃ駄目なのにぃー。」
「そういう莉緒もね?」
俺の隣でバレた?と無邪気な笑顔を見せる莉緒。
俺の愛しい人。大切な人。
今まで個人を好きになるなんて考えてもいなかった。でも莉緒に出会って、誰かを好きになること、守りたい人ができること、愛する事を知った。
「莉緒、」
「なに?」
「愛してる。」
「どうしたの?いきなり。」
「莉緒のこと好きだなぁって思って。」
「私もだよ。大好きだよ、臨也。」
優しく微笑む彼女に俺はたくさんの愛と思い出をもらった。
ただ一緒に居るだけで幸せだった。
なのに─────
「臨也っ!大変だよ!」
教室のドアを開け、飛び込んで来たのは珍しく慌てた様子の新羅だった。
「珍しいねぇ、新羅がそんなに慌ててるなんて。まあまあ、落ち着きなよ。」
「落ち着いてなんか居られないよ、莉緒ちゃんがっ────」
「……え?」
一瞬にして頭の中が真っ白になった。
莉緒が誰かにいきなり襲われて大怪我をした、今は救急車で運ばれて病院に居る。
新羅はそう言った。
そんな、嘘だ。なにかの冗談だろう?
新羅はその後もなにか言っていたが、覚えていない。気づいたときには病院に向かって走っていた。
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