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プロローグ(1/2)



「唯、見て見て! 」



朝からテンションが高いな、相変わらず・・・、と内心で溜息を吐きながら、肩をバシバシ叩いてくるのは、同期の椎名胡桃。



「何?」



「降谷さん!今日は朝から居るんだね!」



言われるまま、胡桃が見ている方を向けば、そこには朝から仕事場の女たちに囲まれている先輩の姿、降谷零が居た。



きゃーきゃー騒がれながら、数人の女性に話しかけられている彼は少し困ったような表情を浮かべながらも、それでも笑って話していた。



「朝から鬱陶しそうね」



「ちょ、あんた、聞こえるからっ・・・」



「・・・あんだけうるさければ、聞こえるわけないでしょ?」



「まぁ、そうかもだけど・・・でも、あれだよね。ただでさえ人気なのに、潜入中だから中々こっち、公安に来ないから余計に降谷さんが来たら騒ぐ人、多くなったよね」



「・・・・・くだんない」



そう言いながら、その騒ぎの軍団の横を通り過ぎた。




そのすれ違い様、彼と目が合ったがフイッとすぐに視線を前に戻し、去った。




近付きたくない―――



彼の第一印象はそれだった。



公安という仕事に就いて、彼を見て思った事。



3年が過ぎた今もそれは変わらなかった。



いや、今のような事を見てしまえば益々その想いは強くなるばかり。



でもまぁ、3年間たいして関りもなかったし話した事も数える程度。それに加えて彼は最近新しい任務に就いた。それはある組織に潜入するというものだった。



そっちが忙しいのか、相手が厄介なのかは分からないが彼は中々公安の方に顔を出す事は少なくなった。



まぁ、少なくなったからたまにきたらあんな風に女たちにキャーキャー囲まれるんだろうけど・・・



横をチラッと見れば胡桃が彼に向ってブンブン手を振っているのが見えた。



ハァー、と大きく溜息をしてエレベーターのボタンを押せば、それがくるまでの間、胡桃にバシバシとまた叩かれた。



「降谷さん!見た!?手振ってくれたよ!!」



「あー、そう。良かったね」



チンーーーと音が鳴り、エレベータの扉が開いたのでそれに乗り込んだ。扉が閉まる直前に視線を上げればバチッと彼と視線が合った。



「・・・・・・・」



彼がニコッと笑った為、小さく頭だけ下げておいた。




「唯って、降谷さんの事嫌い?」



エレベーターの中でいきなり問われた言葉に胡桃へと視線を向けた後すぐに前へと戻した。



「近づきたくない」



「ようは・・・嫌いなのかな?;まぁいいや。でもさぁー、カッコイイとは思うでしょ!?」



「・・・・あんたさ、彼氏いるでしょう?」



「彼氏はいるけど、それとイケメンを見るのは別物よ!」



降谷さんは憧れなの!と胡桃は彼氏とイケメンを観察するのは違うと力説をするのだった。



          後書き→

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