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複雑な想い(2/3)



「あれか・・・」



上を見上げて車軸の爆弾を確認し、どうやってあそこまで行くかをすぐに頭の中で導き出す。



上に上って車軸に飛び降りた方が早いな、と思い駆け上がろうとするがーーー



ガガガガガッーーーーー



大きな音と共に次々と破壊されていく観覧車。




「くそっ・・・・」



爆弾撤去をすぐさま諦めて銃撃の嵐を凌げそうな場所まで一気に駆ける。




鉄の陰に潜り込み頭を下げ、真上を通過していく銃弾に肩を竦ませた。




「・・・動いたらすぐに狙い撃ちされるっ」



奴ら、熱探知機かなにかでこっちの動きを見て銃撃してる。




兄とは先ほど別れた為、近くにいる気配はないし、秀一やボウヤもこの銃撃で何処かに身を潜めたはず・・・・




合流するために探した方がいいか、このまま単独で行動するかーーー



そう考えていると銃撃が一か所に集中し始めた。




「!!・・・・なるほど。キュラソーが哀ちゃんに子供たちを任せて囮になった、って所かしら?」




だとすれば、行動するなら今!




陰から飛び出し上に向かって駆け出した。




ピョンピョン、と軽くジャンプしながら崩れかけている鉄骨などを上っていれば「赤井さーん!安室さーん!りゅうさーん!!」と大きな声が聞こえてきた。




その声を聞いてすぐにボウヤか。と考えて合流することにした。




「ボウヤ!」



「りゅうさん!無事だったんだね!」



よかった!と笑顔のコナンの隣に降り立てば「無事か」と声が聞こえてきて上を見た。



「赤井さんも!」



コナンが赤井の元へと上ろうとしていたのヒョイっと抱えて飛ぶ。



「わっ!」



いきなりの事に慌てるコナンだったが、すぐに赤井の近くに着き、降ろされた。



「怪我はないか?二人とも」



「うん」



「えぇ」



「隠れるんだ。まだローター音が聞こえる」



ガチャガチャと、スコープを外しながら言葉を発する赤井にりゅうが目を細めた。





「まさかライフルが壊れたとか言うんじゃないよね?」




「ライフル自体は大丈夫だ。ただ暗視スコープがおしゃかになってしまった」




「安室さんは!?」



「わからん。だが、直接的な攻撃を仕掛けてきたという事は爆弾の解除には成功したという事だ」



「うん!」



「かなりギリギリだったけどね」




りゅうの言葉にニッと笑うコナンが「後は奴らをどうやって・・・」と呟けば「そのライフルは飾りですか!?」と上の方から聞こえてきた安室の声に三人とも上を見上げた。




「安室さん!!」



「反撃の方法はないのか!?FBI!!」



安室が上から下を覗き込みながら叫べば赤井は「あるにはあるが・・・」と言葉を濁した。




「・・・この闇で暗視スコープがないのは痛いね」



「通常のスコープも持ち歩いていなかったんでな、些か不安は残るが・・・」




赤井の言葉にりゅうは持っていたあるモノを赤井へと投げた。



「・・・これは」



受け取ったものに目を小さく見開きながら赤井はりゅうを見た。




「・・・お守り代わりにね、持ち歩いてたの。父の形見のスコープ。あんたに貸してあげる」



ただ、暗視機能はないから通常の物だけど。と言えば赤井はニッと口角を上げた。



「助かるよ」



「絶対!返しなさいよ!」



壊したり傷つけたりしたら許さないから!と声を荒げるりゅうに「了解」と返事を返す。



「これで勝算があるにはあるが・・・」



「まだ何か!!?」



父の形見を赤井へと貸す、と言うりゅうの言葉に顔を顰める安室だったが、事が事だけに言葉を飲み込んだのだが、まだ尚言葉を濁す赤井に苛立ったように叫ぶ。



「この闇世に浮かぶドデカい烏を撃ち墜とすには姿が分からんことには・・・」



「姿が分かれば墜とせる!?」



「あぁ」と、コナンの言葉にすぐに返事を返す赤井。



「でもどうやってっ・・・」



「ローターの結合部を狙えば恐らく・・・」



「結合部!?そんなの見えなかったよ!?」



「正面を向き合っては無理だ」



コナンと赤井のやり取りにりゅうは眉を寄せた。




「無茶難題を・・・あれの姿勢を崩し、なおかつローター周辺を照らせって?」



「あぁ、5秒程照らせれば勝機はある」



「5秒って・・・結構な無茶ぶりね」



「照らすことは出来るとは思うけど、大体の形が分からないとローター周辺には・・・」



コナンがベルトへ手を置きながら言えば「あぁ、花火ボールか」とすぐに分かった。



ドガガガガッーーーーーー



話している最中、再度始まった銃撃の嵐ーーー



「「「「!!!」」」」



いきなりの事に驚き4人ともすぐに陰へと隠れた。




「くそっ!!折角打開策が見えそうだったのにっ・・・」



コナンがりゅうのすぐそばで悪態吐く。



「チッ、これでは動きようがないな」



赤井も舌打ちした。




「どうする!?」



上から聞こえてきた安室の言葉に「動けば狙い撃ちされる」と赤井が答えれば、りゅうがスッと立ち上がった。



「りゅうさん!?」



コナンが慌てて声を掛ければ、徐に変装メイクを解くりゅうに「何をする気だ?」と赤井は眉を顰めて声を掛けた。



「私が囮になる」



「えっ!?」



「りゅうっ!!?」



何を言い出すんだとコナンが驚きの声を上げて、安室も慌てて顔を覗き込ませた。




「この銃弾の中、君だけを狙うとは限らんぞ?」



難しい表情、不機嫌そうな声色を隠す事もせず赤井が言えばりゅうはクスッと笑った。



「・・・さっきと同じ状況なら、どう?」



「なに・・・?」



彼女の言葉に赤井は更に眉を寄せた。




「さっき、集中攻撃されたのは?そして攻撃が止まった理由は?」




「・・・!!まさかキュラソー!?」



「ビンゴ、ボウヤは相変わらず察しがいいね」



「おまっ・・・だめだ!キュラソーの代わりお前が囮になるなんてっ」



安室が上から大声で叫べばりゅうは「大丈夫」と笑った。




「奴らがお前さんをキュラソーだと思い込み、攻撃すると・・・?」



「あんたも中々退かないね・・・;」



安室も赤井もなんとか、りゅうがしようとしている行為を止めたくて交互に止めようとするが、彼女が聞くわけがなくてーーー



「奴らは絶対、私をキュラソーだと思い込み集中攻撃をしてくる。私は大丈夫。だから・・・この状況をなんとかしなさいよ」



フワリと笑い赤井を見て、コナンの頭を一撫でした後、今度は兄を見上げた。そこには心配そうな表情が浮かんでいて・・・「ふはっ・・・」と困ったように吹き出すりゅう。


「お兄ちゃん」



「・・・なんだ?」



「大好き」



「!!」



フワッと笑い、少し照れた様な表情で笑うりゅう。降谷は目を見開いた後、目を細めて少し苦し気にだが笑った。



「あぁ、俺もだ」



「約束、これが終わったらちゃんと話そうね」



「っ・・・あぁ!約束、な」



「・・・・・・・」



そんな二人のやり取りに赤井は目を閉じた。



安室が居る手前、他人同士を装っているので仕方はないが、表立って声を掛けることも出来ずにーーー



「(妬けるな・・・)」



フゥ、と小さく息を吐いた後、視線を感じてそちらを向けばりゅうがこちらを向いていてーーー



「(秀一、信じて・・・?)」



安室から死角になっている場所で口パクで伝えれば赤井はフッと笑って頷いた。



「(大好きだよ)」



「!!」



それだけ言い、赤井が小さく目を見開き驚く表情を見て、悪戯が成功した子供の様に笑い、りゅうは勢いよくその場所から飛び降りた。








複雑な想い
(あの動き・・・・)
(え?あ・・・あの時のキュラソーの動きと瓜二つ・・・(元太を助けた時のあの身軽さと・・・))
(ホォー、なるほど。キュラソーだと奴らに思わせるのに動きだけでなく、姿かたちも似せる為に変装を解いたという事か・・・)
(あいつ、警察庁でみた奴の動きを見ただけで完全にコピーしたのか・・・?)

(キュラソーの動きを見たのは2回。警察庁とさっき哀ちゃんを助けた時だけ。でも、大丈夫、やれる。ジン達の事は秀一とお兄ちゃん、ボウヤが絶対何とかしてくれる。私は自分の出来る事を、打開策を見つけるまでの時間稼ぎができればっーーー)



         あとがき&補足?→



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